購入動機
ロープロファイルキースイッチに触れてみたかった
基本的にメカニカルキーボードを愛用するも、パームレストが必要になるような背の高いものは、取扱いが面倒なので避けてきた。現在メインで使用しているキーボードも、「MelGeek Z70 Ultra」という低姿勢設計のキーボードキットである。
Z70でも十分なんだけど、今までロープロファイルのキースイッチというものに触れたことがなく、興味はあった。ただ、メカニカルキーボードに拘り使い始めた当時は、そもそも低姿勢を謳った安価な製品がほぼ無く、手が出なかった。
しかし、今年春先に登場した「CoolerMaster SK622」が、自分に必要な性能を満たしながらロープロファイル設計ということで、俄然興味が湧いたのである。発見時はちょうどセールをしていたのもあり、購入に至った。
欲しかった機能
その「自分に必要な性能」とは、以下の点である。
- ロープロファイルキースイッチ搭載
- リニアスイッチ
- 60%サイズで矢印キー付き
- ワイヤレス
かつ
- 1万円台で購入可能
難しいのが三つ目で、上下左右の矢印キー付きの60%サイズというものが、製品のラインナップ自体少ないのである。矢印キーは割と使うので欲しい。でもいわゆる「TKL」の85%サイズあたりだと、自分の机にはやや大きい。
四つ目の無線機能に関しては、探していた当時は必須だったけれど、今は無くても問題ない。
国内メーカーでは平気で2万円以上するのが当たり前のなか、なんとか1万円台で手にしたかったのである。研究が主目的だけど、実際に運用もしたかった。
逆に「拘らなかった」条件は、以下の通り。
- LEDの色、光り方
- キースイッチのメーカー
- キー配列
- ワイヤレスの規格
- ケースの材質
CoolerMaster SK622
で、これら諸条件をすべて満たしてくれたのがSK622だったのである。
「SK600」の次世代モデルらしい。
この記事の掲載時は、Amazonで16,000円前後で推移しているけど、当時は別のお店で14,000円未満で購入した。
外観
外観は、いたって普通の60%キーボード。だけど右下に矢印キー4つを押し込むように積んでいるので、一般的なANSIのキーボードよりゴチャついている。
キー数は64。右シフトキーが1Uサイズに縮んだところに、上矢印キーとDelキーが乗っている。
Delキーは、60%キーボードには通常搭載されない。エンターキーの下という、配置が変則だけど、あってもいいとは思う。人によっては「邪魔だ」とか「邪道だ」と思うかもしれない。
プレートはヘアライン加工されたアルミ製。ケース全面を覆っていてかつCNC加工で面が取れているので、ぱっと見は高級感がある。
そのすぐ下に乳白色の薄いエッジと、樹脂製のケース。ケース左横には無線機能のON/OFFスイッチがある。
底面裏の脚は手前側にゴム脚が二つあるだけ。これもめずらしい仕様だけど、自分の打ち方では滑り止めの機能を十分果たしている。
本体重量は、450gくらい。標準的かな。
キーキャップ
キーキャップは、独自プロファイルのABS製ダブルショット。打面の文字がLEDの光を透過する。
吸いつくような触覚のABS製。ただ、ダブルショットなのはいいのだけど、印字が打面の縦芯で揃っていないキーが多い。異常に安いキーキャップセットでよく見かけるヤツだ。文字入力機器なのだから、ここは拘ってほしいんだよな……。
別のものに変えたいところだけど、このキーボードはCapsLockキーの位置にLEDインジケーターがあり、その光をキーキャップの打面まで透過する独自仕様なので、実質専用キーキャップなのである。
また、スペースキーは6.25Uだけど、裏面の左右両端にサポート用と思われるシャフトのようなものが付された特殊仕様だった。二つの細長い棒が、プレートにあるスリットを突き抜けるようになっている。
キースイッチ
キースイッチは、TTC製の赤軸。ちゃんと確認できていないけど、おそらく「KS32」だろう。中国メーカーの安価なゲーミングキーボードに搭載されていることが多いヤツ。
TTCのキースイッチは、一時CherryMXオリジナル互換品のほうで使っていたこともあってそれなりに信用していたのだけど、このキーボードの場合は左下のCtrlキーが不良品で、動きがぎこちなかった。残念。
また、PCBマウントであろうスタビライザーにガタつきがあり、キー押下時に結構な動作音がする。なんとかしたいところ。
サイズ比較
手持ちのキーボードとサイズの比較をしてみる。
vs KBD67 Lite R2
まずは最近組み立てた新型キーボード「KBDfans KBD67 Lite R2」。
KBD67 LiteはCherryMXオリジナル規格のキットだけど、結構低姿勢の設計になっている。さらにそこに薄型であるDSAプロファイルのキーキャップを付けた。しかしそれでも、並べてみるとやはりSK622のほうが低い。
vs Z70 Ultra
続いて、現在の主力Z70。先にも触れた、ロープロファイル設計のメカニカルキーボードキットである。
プレートのレベルで比べると、Z70のほうがわずかに低い。キットとはいえ、驚異的だな。Z70。
Z70は、一般的なCherryMXオリジナルサイズのキースイッチに、高さはCherryプロファイルと同じくらいのXDAプロファイルキーキャップを積んでいるため、その分SK622よりも身長が高い。これをDSAプロファイルのキーキャップに変えれば、キートップのレベルでもSK622と同等になる。
バッテリーの厚み分、SK622は不利なのか。
分解
バラしてみる。
大量のプラスネジがプレートに配備されている。そのうちのひとつは、シールで覆われている。構わず剥がす。
意外にもバッテリーが二つある。大容量バッテリーを選択すると厚みが増してしまうため、二分割して薄いバッテリーにすることで省スペース化を図ったのだろう。
PCBを分割するにはキースイッチをすべて取り外さなければならないけど、キースイッチはPCBにはんだ付けされていて、取り外すのは非常に手間がかかる。さすがにそこまでする気力はない。
しかも、Type-CのUSBソケットから生えているPHコネクター付きアセンブルケーブルをPCBから外そうにも、キースイッチを取り外さないと物理的に干渉して引き抜けなくなっていた。
これが判明した時点で、これ以上の分解を諦めた。
まとめ
安いメカニカルキーボードにありがちな、打鍵時に甲高い金属音が出るのは、この機種も一緒だった。
本当ならこの後、プレートからPCBを外して消音材を挟んでみたり、スタビライザーの堅牢性アップ、ひいてはキースイッチの静音化などを考えてみたりして、打鍵音の改善まで踏み込みたかったけど、やる気がなくなってしまった。
SK622は、Bluetooth搭載のメカニカルキーボードにしてはたしかにロープロファイルであることがわかった。今回はたまたまキースイッチが「ハズレ」だったものの、このテのものを1万円台前半で、外国から輸入することなくすぐに手に入るとすれば、選択肢になる気がした。
この薄さで計4,000mAhのバッテリーを積んだ機種はあまり見かけないし、プロファイル分けやマクロも組めたりと、さすがはゲーミングガジェットっぽく機能面でも申し分ない。
ただ、自分の環境にはすでにZ70がいる。本体だけでも諸々込みで$200以上するキーボードキットと比べるのもどうかと思うけど、上記で比較した通り、SK622と同等の低姿勢である。特段乗り換えるメリットもないのであった。ひたすら文章を打ち込むだけだから、機能もそこまで必要ないし……。
実はもうひとつロープロファイルキーボードを注文している。メーカーは違うけど、そちらも今回と似た仕様になっている。
手元に届き次第、そちらとも比較してみたい。
終。
(以下資料)