そのうち分解をしてみたり、スイッチの静粛化に手を入れていくつもり。今回はファーストインプレッション。その様子は映像にまとめているので、ここでは動画にはない細かな部分を記載する。
入手の動機
たまたまクラウドファンディングでプロジェクトの資金を募っていたのを見つけ、出資していた。そのリワードとして手元に届いたのが、今回のキーボードである。
内容物
- 本体
- 簡易マニュアル
- USBケーブル (A to Type-C)
- プーラー (キーキャップ、キースイッチ用)
- オプションキーキャップ
- 説明書
今回届いたのはホットスワップタイプなので、キースイッチ用プーラーが付属している。ほかは、全仕様共通。
ボディ
本体は、やはり薄い。
65%サイズの68キー。
プレートのトップまでが、ゴム脚を含めても15mm未満。最上行のキートップでも23~24mmしかない。
このボディの容積にバッテリーまで内蔵されているのだから驚きである。
ただ、あまり高級感はない。ケースとプレートが一体で、艶消しブラックのアルミ製なので一見堅牢そうに見えるけど、底面は明るいグレーのプラスチック製。手に触れる部分がほぼプラスチックの部分となってしまい、持ってみると結構チープに感じる。
すべてメタル素材にしてしまうと、ワイヤレス通信の電波が遮られてしまうから仕方がないとしても、もう一工夫ほしいところ。
ただ、このキーボード、$74で手元に届いたものである。後々見ていく通り、破格の完成度を誇る。細かいことは気にしてはいけない。
上部中央にUSB Type-Cポート、左側にワイヤード/ワイヤレスの切り替えとOSのセレクタースイッチがある。
無線はBluetooth 5.1。一度ペアリングすると、OFF状態から起動させても結構な速度で繋がってくれる。
底面にあるフラップ式の脚は、大小の二つを備える。脚の先端には、それぞれしっかりスリップ防止のゴムが付いている。
総重量はジャスト400g。
厚み比較
手持ちのキーボードと厚みの比較をしてみる。
まずはKBDfansのメカニカルキーボードキット「KBD67 Lite R2」。
KBD67 LiteはCherryMXオリジナル互換なので、当然ながら分厚い。比較してはいけないのかもしれない。
プレート面で比較すると、SK622の最下行がK7の最上行とほぼ同等である。
ウルトラスリムは伊達じゃない、ということか。
キーキャップ
搭載されているキーキャップは、ダブルショットのABS製。文字部がLEDの光を透過する。
打面は円柱状に繰りぬかれたシリンドリカル。上部に行くほど高くなる本体に合わせて角度が付けられているけどすべて同一で、スカルプチャードではない。平面な打面が好みの自分にとっては、この仕様のほうが嬉しい。
スカートがかなり短く、内側にあるキースイッチのステムまでほぼ丸見えである。
キーキャップは、今のところKeychronからオプション品は発表されていない。多少厚くなってもいいのでPBT製が欲しいのだけど、製品紹介のページを見ると「サードパーティ製の発売を期待する」とあり、自社で開発するつもりはないみたい。残念。
キースイッチ
この製品のキースイッチは、Gateron製ロープロファイルメカニカルスイッチとKeychron製ロープロファイルオプティカルスイッチを選択できた。ただし、Keychron製はGateron製よりさらに薄型に設計されており、薄さに重きを置くのであればこちらを選ばざるを得ないだろう。
軸は40gのリニアスイッチ。いわゆる赤軸仕様。
底打ちまでの距離がCherryMXオリジナルの約6割で、数値以上に軽い打感なのかなと思っていたけど、割と反発力がある気がする。ステムの水平方向の面積が広いから重く感じるのかもしれない。
このキースイッチの良い点は、キャップ接合部に十字型を採用しているところ。つまり、CherryMX仕様のキーキャップがそのまま被せられる可能性があるのだ。ただ、ロープロファイルスイッチなので、スカートがプレートと衝突する懸念もある。
というわけで、手持ちから2種類引っ張ってきて試してみた。
まずはDSAプロファイル。
サイズが大きめのキーは若干怪しいところもあるけど、押し込んでもプレートとは1mm程度の隙間が開く。通常使用する分には問題なさそう。
次にXDAプロファイル。
こちらは、プレートと触れるか触れないかギリギリのラインで留まる。ステムの物理的なブレや、同一のプロファイルでもメーカーによって形状に多少ブレがあることなどが要因で、製品によってはプレートとスカートが触れてしまうこともあるだろう。
XDAでギリギリならば、ほかのプロファイルも似たようなものであろう。
とりあえず代替として使えそうなのは、DSAプロファイルオンリーとなりそう。
スタビライザー
キースイッチと並んで、このキーボードの設計として「偉い」のは、ロープロファイル用スタビライザーなのに十字型ステムを搭載している点。
ほかのロープロファイル製品だと、大抵は独自機構でキーキャップ側もそれに合わせた専用仕様となっていたりする。ところがこちらは、CherryMXのプレートマウント方式に似た形状の大型のスタビライザーを搭載している。
これにより、キーキャップの選定の幅がだいぶ広がるのである。地味な点だけど、この設計は正解だと思う。
しかし、まだよく理解していないのが、CapsLockキーと1.75Uの右Shiftキーに、ワイヤーとキーキャップが直結する独自機構のスタビライザーがある点。
通例的には、そもそもこれらのキーにスタビライザーを設けることはしない。コストを割いてまでわざわざ備えているのは、どういう意図なのだろうか。
スタビライザーに関しては、またの機会に詳しく見ていく。
アーリーバンプタクタイルスイッチ
Keychron製オプティカルスイッチとGateron製メカニカルスイッチともに、リニアのほかにいわゆる「タクタイル」と「クリッキー」も用意されている。「茶軸」がタクタイル、「青軸」がクリッキーというのも慣例通りなのだけど、この度Keychron製にはGateron製にはないニューモデルとして「バナナ軸」と「ミント軸」がラインナップに追加された。
この2種は、「アーリーバンプタクタイル」と紹介されている。大流行りした俗に言う「Holy Panda」ライクのタクタイルスイッチだという。
気になったのでキーボードと併せて購入し、送ってもらった。
バナナ軸とミント軸では、操作力が異なる。軽い方のバナナをチョイス。
付け替えてみる。付属のプーラーより、数百円で買える汎用のもののほうが扱いやすい。
Keychron公式に倣えば、引き抜くにはキースイッチの左右をつまんで持ち上げるようだけど、イマイチやりづらかったので上下にした。
メカニカルスイッチと異なり、スイッチ底部から突き出る棒状の脚がないので、割と適当に本体に押し込んでしまえるのが良い。
タクタイルスイッチは趣味ではないのだけど、このスイッチに関しては結構好み。しばらくこれで行こう。
まとめと今後
この記事掲載時は、上記と同一仕様だと$84で予約受付中。
「無線薄型メカニカルキーボード、もうこれでいいんじゃね?」と思わせる完成度で、突っ込みどころが少ない。これ買っとけば間違いないよね、という感じ。
今後、気が向いたら本体の分解やキースイッチの潤滑化を行ってみたい。
ワイヤレス機能は無くてもいいかと思っていたけど、やっぱりあると便利だな。
終。
(以下資料)