いつか消える文章

本当は、ペンとノートを持ち歩くことにあこがれている。

Huano HolyTom V1 スイッチを使ってみる

サンプルとしていろいろキースイッチを取り寄せていたら、打鍵音の良さげなものに出会ったので、メインで使っているキーボードのキー数分取り寄せてみた。

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タクタイルスイッチを使う理由

注文したのは、「Huano HolyTom V1」というキースイッチ。

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Huano HolyTom V1
CherryMXオリジナル互換のタクタイルスイッチである。
 
自分がメインで使用するメカニカルキーボードには、基本的に軽量のリニアスイッチを好んで使ってきた。タクタイルやクリッキーは打感がやや不快で、長時間文字を打ち込むことになるメインのキーボードに搭載することはなかった。
 
それがなぜ今回使うようになったのかというと、タイプミスの矯正目的である。
近頃、日記を付けるのも今打ち込んでいるような記事を作るのにも、打ち間違いが頻発するようになった。
原因はわからない。自然と増えたのだ。思うように文字を打ち込めなくなったことが結構なストレスで、かといってどうにもできないでいる。
 
なんとなく、軽量なリニアスイッチの打感が指に合わなくなったのではないかと思い始め、それならいっそ別種のスイッチに一新してみようか、と考えていたタイミングで、このキースイッチに出会ったのである。
 

アーリーバンプタクタイル

このHolyTom V1は、いわゆる「Holy Panda」の動作を模倣したものだ。打鍵時の初動に突っかかりがある、アーリーバンプタクタイルスイッチである。
いまや特別珍しいものでもなくなった、ホーリーパンダのクローン。特筆するような性能を持つわけではなく、以前手に入れたHuano製キースイッチと同様、動作音が好みだったので選んだというだけだ。
 
実際にキーボードに搭載した音は、動画で確認できる。素の状態で音程が低いことがわかる。
 

分解

中身を見てみる。
ハウジングカラーは、上下共に透明のアクアブルー。材質は不明。

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分解したところ
一応、工場潤滑済みと謳われているのだけど、実際に届いたものにはグリスのようなものはほぼ無く、スプリングとステムのいわゆる「脚」の部分に少しだけ付いているだけだった。
まあ、嘘ではない。
 
スプリングは、最近流行りの多層式を搭載している。

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L=22mm
作動力は58g。タクタイルスイッチとしては軽量なスプリングに分類されるみたいだけど、これまで40gあたりのリニアスイッチを使用してきた身にとって、体感では結構ズッシリくる重さだ。
 
軸ブレも及第点。決してタイトではない。
キーキャップを被せるとブレが割と顕著になるので、最新の高性能なキースイッチに慣れていると、打鍵時に違和感を覚えるかもしれない。とはいえ、ほかに支障らしい支障も無い。
 

潤滑&フィルム

もともとセルフルブをするつもりだったので、プレルブでないのは問題にならない。
 
使う潤滑剤は、「Krytox GPL204 G00」。初めて使うグリスだ。
定番のGPL205 G0と比べると粘度が低く、よりオイルに近い。かなり柔らかめのクリーム状をしている。
スプリングには、いつものGPL105。

塗り方も今までと同じ。ハウジングには塗らない方針。

もとからステムの脚にもグリスアップされているので、今回もそれに倣ってGPL204 G00で塗り直す。

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潤滑中。広めのルブステーションが欲しくなってくる
フィルムは、ポリカーボネート製の0.15mm。
以前分解して整備した「American Rose Garden Switch」は、ボトムハウジングの形状が特殊でフィルムを挟めなかったけど、こちらは一般的な構造なので、普通に挟める。
 

不良品

潤滑作業中、不良品をひとつ発見した。
トップハウジングが透明ではなく、乳白色に濁っている。

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左:正常 右:不良
色がおかしい以外は特に問題は無さそう。でも、気持ち悪いので取り除く。
 

キーキャップ

キースイッチを一新するついでに、キーキャップも新調してみた。「Gentleman Keycap Set」

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Gentleman Keycap Set
このキーキャップのプロファイルは「XDA V2」。
V2は、XDAよりもほんのわずかに背が高い。
 

スタビライザー

スタビライザーの潤滑も、やり直したかった。
既存のものに塗り直すのが面倒でやりたくなかったので、こちらもスタビライザー本体を新規に入手した。
プレートマウントタイプ。カラーがキースイッチの「Alpaca」そっくり。

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今まで使ってきたAlpaca V2は、今回取り外しちゃうんだけどね
今回は、ステム部の潤滑に「GPL205 G2」、金属ワイヤー部にPermatexの絶縁グリス「22058」を使用。
G2を選んだのは、以前キースイッチに使用したところかなりの静粛性を得られたことから。G0よりも重いけど、58gのスプリングを積んだキースイッチなら動作に支障は無いだろうという判断。
 

キーボードに搭載

上記を搭載するキーボードは、「MelGeek Z70 Ultra」。総アルミケースの超薄型メカニカルキーボードキット。

MelGeek Z70Ultra Mechanical Keyboard 65% Hotswappable with RGB Aluminum Custom Mechanical Keyboard Kit with 67keys 68keyswww.melgeek.com

このキーボードはホットスワッパブルなので、本体を分解することなく、単純に付け替えるだけ。

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清掃をサボっていたので、プレートがだいぶ汚れていた
 

使用感

この記事も組み上がったキーボードで文字入力している。
さすがにまだ慣れていないけど、新鮮味を感じられて良い。

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完成の図
XDA V2プロファイルのキーキャップについては、今まで使ってきたXDAから難無く移行できている。背が約1mmほど高くなっているはずなのだけど、特段の違和感は無い。もちろんパームレストも使っていない。

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印字がシックで良き
 

タイプミスは減るのか

ただ、肝心の打鍵の正確性向上は、今のところあまり感じられていない。相変わらず入力がヘタなまま。
 
認めたくないけど、脳の劣化が原因なのだろうか。毎日キーボードに触れているにもかかわらず、指先の動きは徐々に鈍っていくのか。
だとしたら、訓練する以外に手はないか。でも今さらタイピングの練習なんてしたくないな。
 

今後

現在からしばらくは、あまり触れてこなかったタクタイルスイッチの感触を楽しめるからいいのだけど、そのうちバンプが鬱陶しくなってまたリニアスイッチに戻す気がしている。
 
最近、メカニカルキーボードに関する事柄は、手持ちのキーボードで求めていたものが大方満たされてしまい、意識を向けることが少なくなってしまった。
今後は、何か画期的な事由でない限り、キーボードを積極的に弄ることはなくなってゆくのだろう。
 
終。
 
(追記) その後