いつか消える文章

本当は、ペンとノートを持ち歩くことにあこがれている。

Gravity Circuit 所感

ロックマンがやりたい。でもいまさらクラシックなオリジナル作品を遊び直すのもな……。
というわけで、Steamでロックマンライクな作品を探していたら「Gravity Circuit」を見つけたのでプレイしてみた。
難易度ノーマルで標準モードをクリアまで。
 

概要

スピーディーに進む2Dドットアクションゲーム。人間味のあるロボットが住まう星に突如発生した動乱の収束を実現すべく、一人(一体?)のロボットが渦中に現れる。

オープニングステージ、ステージセレクトが8つに8ボス、ボスを倒して増える攻撃手段など、ロックマンシリーズのお約束をしっかりリスペクト。ラスボス前にははもちろん8ボスとの再戦もある。

 

往年のロックマンリスペクト

ベースとしているのは「ロックマンゼロ」シリーズのようだ。自陣の基地を拠点とし、そこからステージセレクト、自身の強化、蒐集品の閲覧などを、拠点内にいるロボットたちと会話することで行える。

道中の主人公のアクションも、基本はロックマンゼロシリーズに近い。垂直の壁の直近でジャンプすると壁を蹴るいわゆる"壁蹴り"や、ダッシュ、スライディングもすっぴんで行える。フックショットによるワイヤーアクションを駆使する場面もある。

ステージによっては「ロックマンX」シリーズでおなじみ"ライドアーマー"的なものも用意されている。アクション要素がてんこ盛りのプラットフォームゲームだ。

 

近接攻撃型アクション

主人公「カイ」は、バスターでもソードでもなく、パンチやキックなどの格闘技で攻撃する。リーチが非常に短く単発の威力も低い代わりに、隙が小さく連続して繰り出せるうえ、同時にコマンド入力することで上下方向にも対処できるモーションに変化する。

ロックマンでいうところの"特殊武器"にあたるものは「バーストスキル」と呼ばれるもので、いわゆる"武器エネルギー"である「バーストエネルギー」なるものを消費して繰り出す高威力の必殺技である。

それ以外の攻撃方法として、倒した敵や特定のオブジェクトを掴んで投げつけることができるのがユニーク。この「投げる」攻撃が意外と高威力で、うまく扱えると道中のザコ敵の処理がだいぶ楽になる。ボス戦にも有効だ。

 

強化パーツ

このゲームには「ビット」と呼ばれる貨幣の概念がある。ロックマンシリーズでいうところの"ネジ"に近いもので、敵を倒したりステージに固定配置されている箱のようなものから入手できる。
ビットは、自身の能力を強化する「ブースターチップ」やバーストスキルとの交換、後述する道中のチェックポイントでの体力回復など、いくつか使用する場面がある。

これらの利用は任意なので、すべて無視することでいっさい消費せずにクリアすることも可能だ。当然ながら、難度が上がるけれど。
 

チェックポイントのシステム

各ステージは2Dプラットフォームの歴代ロックマンシリーズと比べると長大で、ステージ内にセーブポイントとなるチェックポイントがいくつか設けられているのが特徴。
また、基本的に「残機」というものが無く、体力が尽きると通過したチェックポイントから何度でも再開できる仕様となっている。

このチェックポイントでは、集めたビットを消費することで体力とスキルエネルギーを全回復することもできる。特に、スキルエネルギーを一気に回復できるのは基本的にここしかないので、バーストスキルを多用する場合は重宝する。
また、いったんチェックポイントに戻されると、体力は全回復状態であるもののスキルエネルギーは空の状態となる。つまり、再開後に強力な技をすぐに使える状態にしたい場合は出費が必要、ということになる。
しかも、利用するごとに必要な金額がつり上がっていくというもの。

資金力で自身がより優位になるシステムだ。道中のザコ敵のせん滅や箱の回収を怠らなければさほど問題とはならないものの、幾度もやられて回復を繰り返していると、妙な緊張感を感じなくもない。
 

絶妙な障害物と現代的リファイン

道中の敵の配置やトラップもよく研究されている。インディーゲームらしい難易度で、コンシューマー向けのロックマンではあまり味わうことのない程よいイヤらしさが随所にある。

ただし、ロックマンシリーズでは一発アウトでおなじみの"トゲ"や"穴"などのトラップは、大ダメージを受けるものの体力が残っている限り直前の状態から即時に復帰する仕様となっている。

どのステージにおいてもトラップに落としにかかるような敵の配置が多めなので、チェックポイントから死亡地点までステージをやり直す苦行が減るのはありがたい。
 

スキルの仕様

アクション面以外でも細かい点でクラシカルなロックマンとは異なるところがある。その筆頭が、スキルエネルギーを消費して攻撃するバーストスキル、つまり特殊武器の入手方法だ。
このゲームでは、各ステージのボスを倒すと自動的にバーストスキルが使用できるようにはならず、ボス撃破後に対応するバーストスキルが拠点で購入できるようになり、それを入手しスロットに装備することで使用可能になるシステムとなっている。ここでも貨幣制度が活用される。

正直、このシステムは冗多というか、要らない手間のような気もするけど、バーストスキルは特殊武器というよりは必殺技に近い性質なので、別モノと捉えればこれはこれでアリかもしれない。
ただ、プレイに集中してくるとバーストスキルを使用しなくなり、気がつくと通常攻撃のみで対処するようになっていた。スキルエネルギーの回復効率が低いため気軽に使えず、そのまま存在を忘れてしまうのだった。自分がケチくさいのもあるけど、もっとバシバシ放てるようになっていると楽しいよな、とは思う。
一応、回復効率については特定のブースターチップを装備することで上昇できるので、それを素直に使用しておけば違ったプレイになったのかなとも思う。

スキルにおいても、初期から使用可能な突進技「フライングストライク」がシンプルかつ瞬発力があり優秀で、せっかく新たにスキルを入手しても大抵のものは試用したあとお蔵入りしてしまった。しかも終盤は回復スキルである「エマージェンシーヒール」にスキルエネルギーを割いて生存率を上げたいため、攻撃スキルの出番は無しに等しいのだった。

といっても、このあたりはプレイヤーのスキルに依存するところもあるだろうし、うまく使いこなせるとかなりスタイリッシュなゲームになる気もする。
 

まとめ

キビキビ動きまわる操作キャラと豊富なアクションで、爽快感のあるプレイを見込める。グラフィックが一枚絵やアニメーションまですべてドットによる表現なのも味があって良い。

2Dロックマンを上手くリファインしている印象だ。ストーリーも王道でわかりやすい。

ボリュームとしてはロックマンとさほど変わらずサラリと遊べるけど、チャレンジ要素が豊富にある。かなり遊びこめそうな作品だ。
質の良いアクションゲームだった。

終。