いつか消える文章

本当は、ペンとノートを持ち歩くことにあこがれている。

Stray 所感

「猫のゲーム」こと「Stray」をプレイした。
Steamで購入。メモリーの回収のためウロウロしながら、8時間ほどでクリア。
人間が消えたあと、かなりの年月が経過したと推測できる世界。
常闇の退廃した都市に迷い込んだ一匹の猫が、元居た住処に帰るべく駆け抜ける。

ジャンルとしてはポストアポカリプスかなと思っていたけど、どちらかというとサイバーパンクである。このゲームを取り上げている様々な媒体も、サイバーパンクとして紹介しているようだ。

実に人間臭い動きをする人型ロボットたちが住まうスラム街から始まり、志を同じくする者たちと一緒に、暗く危険な世界に陽の光を届けることでクリアとなる。

ゲームとしては、アクションとパズルである。
視点が猫なので、周りのものすべてがやたら大きく見えるけど、エアコンの室外機や庇、配管や手すりなどのちょっと出っ張った場所がたいてい足場となる。それらを利用してしなやかに跳躍しながら進めるので、移動の自由度はけっこう高い。反面、頭の中で地図を描くのが大変で、迷いやすいかもしれない。

そのほかのアクションとして、フィールド上に発生する敵から逃げながら進む場面がある。やはり猫なので、攻撃手段は限定的。走ったり跳んだりして基本逃げに徹することになる。

移動自体はイージーで、足を滑らせて奈落の底へ、みたいなことは一切無いため、そういったアクションスキルが低くても問題ないようになっている。その点で、ひたすら敵の攻撃を振り切ることに注力できる。
猫がやられる姿を見るのはやっぱり忍びないから、プレイに熱を入れざるを得ない。

パズル要素は、ヒントが無くてもギリギリ解ける絶妙の難易度となっている。シンプルかつ王道で、ゼルダの伝説シリーズがクリアできるなら詰まることはないだろう。

ユニークなのが、ゲーム進行と何ら関係もない「猫ならではのアクション」ができること。
進行は一本道。だけど、なんの脈絡もなく、高そうな絨毯やソファーの縁などで爪を研いでみたり、昼寝できそうなスペースがあればいつでもいくらでも丸まって眠っていられたりできるのである。

関わってくるロボットたちも皆、猫に親切かつ寛大(?)なので、意味もなく棚の上のボトルを落としてみたり、急に足元に飛び出して驚かせてみても怒られることはない。そういう意味で、都市の外は謎の生物が蔓延って危険ではあっても、必ずしも苦境に立たされて余裕が無いような環境というわけでもないのかもしれない。

グラフィックはとても綺麗。汚れている感じが自然というか、ホコリっぽいディテールが上手い。
ただ、道中に肉塊の表現があり、それが妙にリアルでけっこう気持ち悪い。ホラー要素としては軽微な部類だと思うけど、人を選びそうな感じもする。
目を背けたくなるような不気味なクリーチャーたちと戯れた後は、自身である猫の一挙手一投足に癒されて中和されたいところ。
 
動作は軽め。2160p画質のMAX60fpsの設定でプレイしたけど、動作的にストレスに感じる部分は無かった。

まとめると、猫の挙動を楽しむゲームである。
突拍子もなく鳴いてみたり、通行人にちょっかいを出してみたりして、猫の気分になって相手の反応を窺う。そういった疑似体験が楽しめるある種の映像作品だ。
 
終。
 

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