安価なデジタルアンプ「FX-AUDIO- FX-502J」の音を整えるべく、少しずつ手を加えてきた。
備忘録として、ここまでの改造内容をまとめておく。
換装
前回からの変更点のみ記載。
オペアンプ 1個
LME49720 → OPA828 → MUSES8920(暫定)
トランジスター周りバッファ 3個
オペアンプ横カップリング 2個
音声入力カップリング 2個
WIMA MKS2 50V 3.3μF → エルナ RC2(?) 25V 2.2μF → エルナ SILMIC-2 50V 3.3μF → エルナ RA2(?) 50V 3.3μF + ルビコン PMLCAP 63V 1μF
LEDライト
電源ON/OFFインジケーター 1個
赤 3mm → 電球色 3mm
ボリュームノブバックライト 2個
青 3mm → 電球色 5mm 帽子型120度
その他
ネジの交換
ボリュームノブの交換
前段増幅オペアンプ
「LME49720」への交換で透明感が増した。その後、有名な「OPA627」の系譜として「OPA828」の存在を知り、奮発して購入。
聴き比べたら明らかに音圧が上がっていた。今までオペアンプの交換では音色の変化しか感じてこなかったけど、音に張りが出て全体が底上げされるのは初めての経験だ。
オペアンプはこれで決まりだろうと、しばらく変えずにいた。
しかしその後、ほかのパーツをいろいろ弄るうちにさらに音の変化が確認できた。その折、今まで品薄だった「MUSES8920」が手に入ったため試しに交換したところ、音の立体感が増して音楽的な鳴らし方になった。
音の張りとレンジ感はOPA828が上だけど、程々に滑らかで艶っぽく、旨味を引き出すのが上手いMUSES8920のほうが音として好みなので、暫定的にこちらへ変更。
もう少し聴き比べてみたいところ。
トランジスター周りバッファコンデンサー
適当に付け替えた「ニチコン Fine Gold」は、オーディオ用コンデンサーの特徴である大型のケースがオペアンプ引き抜きの際に工具と干渉していたのが気になったので、アンプ電源周りに使って効果があった「ルビコン ZLH」に替えてみた。
結果、やや透明感が増したけど、大きな変化は無し。
ここはあまり音に影響がない部分なのかもしれない。
オペアンプ横カップリングコンデンサー
「エルナ SILMIC-2」は、暖かみのある音だけど、少し音像がボヤけ気味だった。どちらかといえばクールなほうが好きなので、替えてみた。
まず試したのがFG。これは、音が暗くなってしまったので、即却下。
次に、リファレンス用として別途用意した古いFX-502Jに付いていた、青いシースのエルナのコンデンサー。「RC2」だと思うけど、明記がないので不明。
SILMIC-2と比べて解像度が上がった感じ。標準品の電解コンデンサーのはずなのに、かなり良い。
ネット上では、日本ケミコンの「KMG」シリーズが、標準品ながらAV機器にも使われていて、癖のない音と評されているのを見かけたので、試しに付けてみた。
たしかにその通りで、エルナの青コンデンサーと遜色ない。今のところこれで固定。
音声入力カップリングコンデンサー
音への影響が大きそうなコンデンサー。
単純に電解コンデンサーよりもフィルムコンデンサーのほうが音質的に有利だろうと思い「WIMA」を付けていたけど、リファレンス機に付いていたエルナの青い電解コンデンサーのほうが中音域が明瞭でエネルギッシュだったので、一概にフィルムコンデンサーが有力とはいえないと悟り、替えてみることにした。
同じエルナなら、オーディオ用コンデンサーのSILMIC-2のほうがいいだろうと替えてみるも、少し曇った感じがして却下。
SILMIC、割と評価の高くて良いコンデンサーだと勝手に思っていたけど、自分の環境ではイマイチだな。
もともと付いていた黒地に金字のシースの電解コンデンサーに戻し、基板のはんだ面にルビコンの「PMLCAP」を並列に付けてみることにした。
電解コンデンサーの明瞭感とフィルムコンデンサーのクリアな高音を両立させてみる試み。
電解コンデンサーの明瞭感とフィルムコンデンサーのクリアな高音を両立させてみる試み。
この小さなフィルムコンデンサーの効能がどの程度あるのか判断つかないけど、とりあえず一番マシな状態になったので、これで。
LED
アンプの"光"にも手を入れた。
いかにも安直な使い方のLEDの色を変えてみた。
また、青色LEDが個人的に好みでないので、ボリュームノブのバックライトに使われているLEDも電球色にした。ここは、一般的な砲弾型ではなく、光が広がる帽子型にしてみた。
本当は、色温度がさらに低い「ろうそく色」にしたかったのだけど、輝度が低くてバックライトとして仕込むには暗すぎるだろうと考え断念。
外装
アンプ本体の前面と背面のパネルを留めているネジが、前面は六角穴なのに対し、背面はヘックスローブ。分解の際にいちいち穴に合わせたドライバーに持ち替えるのが面倒だったので、六角穴のネジに統一することにした。
その際、前面の銀色のネジは、パネルの色に合わせてブラック塗装のものにしてみた。
また、せっかく連続可変するボリュームなのに、ノブが軽すぎてもったいない気がしたので、アルミ削り出しのものに交換した。AliExpressにて、1個400円くらい。
ローレット加工は無いほうが好みだけど、これはこれでいいか。
まとめ
たまたま同じモデルが中古で手に入り、手元にある改造したものと音質比較をしたところ、未改造の古いもののほうが好みだったのが、再改造を決意したきっかけ。
一応、改造後の機器でも相応の音は出るようになったけれど、作業の途中から馬鹿らしくなってきてしまい、やる気が無くなった。
それは、たぶんこれって「アタリ」と「ハズレ」の差だと感じたからだ。
アンプのICなのか、それとも表面実装のパーツのどれかなのか、峻別できないしする気もない。ただ、まるでアンプの種類が異なるかのような音色の違いが個体差として現れてしまっては、いくらその他のパーツをやりくりしようとも、付け焼刃に等しいのだ。
安いアンプ故の、隠れた、それでいてかなり大きいリスクといえるだろう。いい勉強になった。
ある意味、これが一番の収穫だ。
終。
(以下資料)