いつか消える文章

本当は、ペンとノートを持ち歩くことにあこがれている。

静音ゲーミングパソコンを組んでみる (4/4) 動作編

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久々にパソコンを一台新規に組み上げることになった。その所感を残しておく。
 

 

性能確認

組み立てが一段落したところで、性能面および実用面を確認していく。

パーツ単体の性能はいたる所に情報があるので計測する意義を感じられず。
個人的に気になっていた点のみ確認した。

M.2 SSDの温度

まずはNVMe M.2から。
CrystalDiskMark」で適当に負荷をかけた際の温度。

結果、
  • SX8200Pro : Max 45度
  • SX8100 : Max 42度
となった。

HWMonitorより。

HWMonitorより。
「とりあえず50度台に留まってくれれば」なんて思っていたけど、想定外にだいぶ冷えてくれた。
無負荷時はどちらも35度前後で推移。負荷開始から30秒ほどでMaxの温度近辺まで上がったのち、そこでほぼ横ばいとなった。
数分間の試験なので、長時間読み書きした場合はさらに少しずつ上昇していくかもしれないけれど、50度を下回ったのには驚いた。ヒートシンク無しだと60度後半まで上り詰めることを踏まえれば、安価なヒートシンクでも十分効果があるということがわかる。

今のところは、NVMe M.2 SSDには別途ヒートンシンクを用意したほうが安心と言えそう。

ゲームスコア

普段はあまり気にすることはないけれど、一応「ある程度ゲームができること」を前提にパソコンを組んだので、参考までにゲーム性能のスコアを計測しておく。

定番の「ファイナルファンタジーXIV」と「XV」のベンチマークスコアと評価。FPSの数値はピーク値ではなく、目で追える大まかな動きを示す。
FPSでゲームをプレイする環境は構築する気がないので、FPSは大抵の場面で60以上が出ていれば良しとする。

ドライバーのバージョンは「Studio 460.89」。

結果、
  • XIV 高品質 1920x1080 : 15098 非常に快適
  • XIV 高品質 2560x1440 : 13430 非常に快適
  • XIV 高品質 3840x2160 : 7843 非常に快適
  • XV 標準品質 1920x1080 : 11040 とても快適
  • XV 標準品質 2560x1440 : 8001 快適
  • XV 標準品質 3840x2160 : 4283 普通
となった。

FF14ベンチ結果

FF14ベンチ結果

FF15ベンチ結果

FF15ベンチ結果
FPSの傾向については、
  • XIV 1920x1080 : だいたい120以上
  • XIV 2560x1440 : 70後半~100程度
  • XIV 3840x2160 : 20~50後半
  • XV 1920x1080 : 70後半~100程度
  • XV 2560x1440 : 60~80前半
  • XV 3840x2160 : 30前半~40後半
といった感じ。
FF14はWQHDまでなら60fps以上で安定してプレイできる。4Kになると負荷が軽くても60fpsに届くことが少なくなり、エフェクトによっては20未満になることもあった。しかしそれでも「非常に快適」判定であるように、プレイにおける違和感はほぼ感じない。シビアな判定をしなければ十分遊べる印象。

WQHD画質なら、激しいエフェクト発生時でも80fpsを下回ることはほぼ無かった。

WQHD画質なら、激しいエフェクト発生時でも80fpsを下回ることはほぼ無かった。

4K画質だと、ときどき極端に低下することはありながらもプレイはできる。

4K画質だと、ときどき極端に低下することはありながらもプレイはできる。
FF15のほうは、FullHDであればだいたい90前後以上出ていた。戦闘時の動きがワチャワチャする場面で60台程度に落ち込む場合があるものの、評価のとおり快適にプレイができそう。
WQHDになると80を超えることが少なくなり、場面によっては60を割ってくる。それでも、プレイに支障はなさそう。
4Kになると最高値でも40前半あたりになり、さすがに目に見えて滑らかさが損なわれる。ただ、不思議と20fps程度になることもほぼ無く、滑らかではないものの一応プレイはできるぞ、という印象。

FullHD画質だと、モノが多い場面でも60fps以上を維持できた。

FullHD画質だと、モノが多い場面でも60fps以上を維持できた。

WQHD画質でも、一時のFPS低下をある程度許容すればプレイできる。

WQHD画質でも、一時のFPS低下をある程度許容すればプレイできる。
これらの快適性がすべてのゲームに当てはまるわけではないけれど、3Dゲームが動作する感覚としては、
「FullHDは問題なし。WQHDは設定如何でプレイは十分可能。4Kは滑らかでなくてもいいならプレイ可能」
といったところか。大抵のゲームで「FullHDの60fps安定動作」は達成できそう。上を見始めたらキリがないので、これで良しとしよう。

静粛性

自作パソコンを組むうえで一番気を配っていた静粛性。
起動試験の段階では、電源ユニットのコイル鳴きもなく、ファンもDC制御できることがわかった。
最後に、ASUSのユーティリティソフト「AI Suite 3」の冷却ファン自動制御機能「Fan Xpert 4 Core」を利用して、回転数の調整と動作音の確認を行った。
ファンコントローラーの調整
今回の場合、ファンコンで制御できるファンは、
CPUクーラー : KAZE FLEX 120 PWM

ケースファン(リヤ側、排気) : Dynamic X2 GP-12 Black

Fractal Design Dynamic X2 GP-12 Black PCケースファン FN1061 FD-FAN-DYN-X2-GP12-BK
 

ケースファン(フロント側、吸気) : Dynamic X2 GP-14 Black

Fractal Design Dynamic X2 GP-14 Black PCケースファン FN1063 FD-FAN-DYN-X2-GP14-BK
 

となる。
ケースファンは3ピンコネクタ。Fractal Designのファンは初めて扱う。

3ピンファン単品では高価な部類。性能は良いらしい。

3ピンファン単品では高価な部類。性能は良いらしい。
ASUS製グラフィックボードであればそちらのファンもモニタリングされるけど、制御はできない模様。ただ、特に理由がない限りグラフィックボードの2連ファンは弄らないつもり。

まず、ファンコンの自動制御を正確に行うため、ファンのキャリブレーションを実施する。これもボタンひとつでFan Xpert 4 Coreが自動で行ってくれる。
室温は22度。湿度は65%前後。パソコンケースは床置きの状態で実施。

自動調整中。

自動調整中。
調整完了。それぞれのパラメータは、以下の画像のとおり。

CPUクーラー

排気

吸気

上:CPUクーラー 中:排気 下:吸気
低負荷時
校正終了後のファンは、アイドル時の回転数が校正前よりいずれも100rpmほど下がった。ファンが規定する最小回転数と近似している。
すごい。負荷がなければここまで回転数を落としても冷やせるということか。

CPUファンは最小回転数の300rpmを割っているぞ……

CPUファンは最小回転数の300rpmを割っているぞ……
パソコンは無音状態と言ってよい。エアコンや加湿器などのノイズ発生源をすべて止めて、室内を無音状態にしてもなお、稼働しているのかまったく分からないほど静か。足元に置いても音では判別できず、ケースファンに耳を近づけてやっと動作音を聞き取れるほど。
ここまでとは。素晴らしい。
電源ユニットとグラフィックボードのファンがいずれも完全に停止しているのも大きいだろう。

フロントパネルのLEDの点灯状態で判断するしかない。

フロントパネルのLEDの点灯状態で判断するしかない。
M.2 SSDの負荷時
次に、CrystalDiskMarkによる計測やある程度容量のあるデータの書き込みなどを行った際のファン回転数に変化があるのかを見る。

結果、吸排気のケースファンの回転数が50rpmほど上昇した程度となった。
CPU周りの温度上昇が見られるものの、クーラーファンの回転数については無負荷時とほぼ変わらなかった。SSD2枚程度の発熱であれば、低回転でもキャパシティ内ということか。

余裕を感じる。

余裕を感じる。
動画再生時
続いて、4K画質の動画を再生した際の変化。
メディアプレイヤー「MPC-BE」でBlu-rayを流した場合と、Google ChromeYouTubeの2160pの動画を再生した場合。両パターンで試してみた。

結果、いずれのパターンも排気ファンの回転が100rpmほど増し700rpm前後となり、Blu-rayの場合はCPUファンがわずかに上昇した。

Blu-rayを10分くらい再生した時点の数値。

Blu-rayを10分くらい再生した時点の数値。

排気ファンの回転数がわずかに上昇。

排気ファンの回転数がわずかに上昇。
YouTubeの再生はGPU使用率が高く、CPUはあまり使われていない。その分Blu-rayの再生と比べてCPUファンの回転数が抑えられている。でも、運用上は誤差の範疇だろう。

ファンの動作傾向については両パターンに違いはほぼ無いと言える。動作音もリヤファン側が少しだけ音を出すようになったかな、といった程度で、依然静かであることに変わりはない。動画の演出で音声が途切れる場面などでも、まったく気にならない。

動画の再生中、GPUの温度が50度を超えた。
それまで停止していたグラフィックボードのファンは、YouTubeで動画を再生した瞬間に動き出したけれど、すぐに停止。その後再生中に再度回りだすことはなかった。
しかも、必ず回転するわけではないらしい。何度か動画を再生してみても、回り出したのは一度だけだった。この辺りの条件はよくわからない。

動画再生中のGPUステータス。

動画再生中のGPUステータス。
動画エンコード
適当な動画をソフトウェアエンコードした際も、併せて確認する。
映像は1080p60pを10分。出力は「Aviutl」の「拡張x264出力Ex」を利用。「youtube」プリセットでM.2 SSD上に書き出し。

結果、CPUファンが500rpm前後に上昇した。

エンコード中の数値。

エンコード中の数値。
ソフトウェアエンコードなのでGPUはほぼ使用されず、CPU使用率が100%まで上がる。

ほぼ100%張り付きである。

ほぼ100%張り付きである。
それでも、ファン規定の最大回転数の半分にも満たない。
CPUファンはケースの中心部にあるので、ケースファンよりも遮音される。当然ながら、エンコード中の動作音も静かなものだ。
ゲーム稼働時
さて、懸念するのはゲーム時である。
これまでほぼ停止していたグラフィックボードのファンが常時回転するため、動作音はどうしても上がるからだ。ここは仕方がないので、多少は目を瞑るつもりでベンチマークソフトを稼働させてみる。
FF14ベンチはCPUをあまり使わないので、FF15ベンチを標準品質で3周ほどループさせてみた。

結果、排気ファンは900から1000rpm、吸気ファンは750rpmまで上昇。CPUファンはそれほど上がらず、500rpmあたりをウロウロしていた。

CPUの発熱は、それほどでもないらしい。

CPUの発熱は、それほどでもないらしい。
GPUは100%張り付きで、一気に65度まで上昇。ファンは、ベンチ開始直後から1200rpmくらいで回り始め、計測を進めるうちに1650rpmまで上った。

やっぱりゲームはGPU性能ありきなんだな。

やっぱりゲームはGPU性能ありきなんだな。

ベンチマークテスト中のGPUファン。

ベンチマークテスト中のGPUファン。
それまで静かだったフロントの吸気ファンも、わずかながら動作音が聞こえてくるようになった。リヤにある排気ファンと比べると低音で、音も小さいのは良い。

やはりグラフィックボードの2連ファンの出音が大きい。パソコンが足元にあっても風切り音が聞こえてくるようになった。ただ、想像していた音とは異なっていた。
ずいぶん前に購入したグラフィックボードは、中にミニ四駆でも入っているんじゃないかと思わせるモーターのようなキンキンする回転音が常にしていて、不快で仕方がなかった。以降ファンレスのグラフィックボードしか使ってこなかったのは、この経験があるからだ。
それに比べたら、今回のファンの出音はだいぶ耳にやさしい。高音成分が無く、「サー」という音だけ。感覚としては、120mmファンが1200から1500rpmくらいで回っているときの音に近い。これならゲーム中は気にならないだろう。十分許容できる。よかった。

なお、消費電力が大きいベンチマークテスト中でさえ、電源ユニットのファンは回り出さなかった。RTX 2060 Superに850W電源は、大きすぎたのかもしれない。
ファン回転数一覧

ファンコントロールによる回転数の変遷

ファンコントロールによる回転数の変遷
CPUクーラーを大型にしたおかげで、Core i3であればだいぶ余裕をもって冷却できている。高負荷がかかってもファンは500rpm程度に収まってしまう。さすがに放熱フィンのみでは冷やしきれないだろうけど、ファンの音がほぼしないのでファンレスに近い状況なのではないだろうか。

ケース内のエアフローで重要な排気ファン。このケースには密閉度が高いうえ、排気は風量抑えめの120mmファン1基のみなので、排熱に難があるのではと思っていた。しかし、実際は高負荷を与えなければ最小回転数で回り、温度の異常な上昇もまったくなかった。動作音も静かで優秀である。
140mmファンに付け替えることも検討したけれど、今回のパソコンケースには物理的に付かなかった。だけど、このままでも問題はないだろう。

フロントの吸気ファンは140mmファンで最大回転数が1,000rpmということもあり、低速回転時は動作音がほぼ聞こえない。それでいて高負荷状態で回転数が上がっても、風切り音がそれほど気にならない。吸気ファンは基本的に付けない主義なので当初は取り外す予定だったけれど、M.2 SSDヒートシンクに風を当てたかったので付けることにした。結果的にはSSDが想定以上に冷えたので、これも良かった。
ファンの動作音が気にならないのならば、付けておいてもいいのかもな。

グラフィックボードの小型の2連ファンは相当うるさいものだと覚悟していた。しかし、実情は音が聞こえはするものの唸るような音ではないので、気になるほどではなかった。これはかなり嬉しい。最近のグラフィックボードは進化しているのだな。
ゲーム時以外はほぼ完全停止しているのも良い。セミファンレスに拘っておいて本当に良かった。

電源ユニットのファンは、出力電力が340W以上で回転を始める。今回、一度も回転していないところをみるに、相当余裕があるらしい。これも比較的省電力のCore i3の恩恵だろう。
ただ、仕様だからいいのだけど、まったく冷却しないというのもなんとなく心配にはなる。ゲームのベンチマーク中に本体に手を触れてみたり、通気口に手をかざしてみたりしたけれど、熱を持っている感じはしなかった。今回導入した電源ユニットは、パソコン全体の消費電力に合わせてファンが回転する仕組み。製品によっては同じセミファンレスでも、ユニット本体の温度上昇を検知して回転するものもある。そちらを導入していたほうが、より安心だったかもしれない。

まとめ

性能面においては、コンセプトに沿ったパソコンを組むことができた。
無負荷時において動作音が無音に近い状態になったのは、静音重視のパソコンとしては理想といえる。不安だった高負荷時も、想像をしのぐ静粛性で動いてくれた。
また、3DゲームがWQHD画質でそこそこ動きそうなのは、嬉しい誤算。ゲームにおいてはCPUよりGPUの強化を重視したほうがよいというのは、間違いないようだ。

満足のいく性能である反面、期待していたパソコンケースがショボかったり、予算の10万円を超えてしまったのは悔しいところ。いろいろタイミングが悪すぎた。

この新しいパソコンも、これからしばらく使い続ける。
壊れたら直す。その繰り返し。だけど、パーツを揃えて一台拵えるのは、もうこれが最後かもしれない。ここに文章と写真で一連の作業内容を残したのは、自作に対する総括的なしぐさの一種のような気がしている。
5年後10年後、パソコンを組めるほどお金に余裕があるとも思えないしな。

それでも、できあがったものがちゃんと動けば、やっぱり嬉しいものだ。時期が悪かろうが毎日使うものが刷新できたのだから、それでいいじゃないか。
そういうことにしておく。

パーツの空き箱たち。どこに仕舞おうか。

パーツの空き箱たち。どこに仕舞おうか。

終。

 

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