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本当は、ペンとノートを持ち歩くことにあこがれている。

静音ゲーミングパソコンを組んでみる (2/4) パーツ選定編

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久々にパソコンを一台新規に組み上げることになった。その所感を残しておく。
 
前編

morning-sneeze.hatenablog.com  

 

パーツの選定

今回は、店頭には一切赴かず、インターネット上の情報のみで選定し、オンラインで発注した。
各々のパーツを選ぶにあたって重きを置いた条件と、組み立てる前の所感を記す。

あくまでパソコン本体に関するもののみ。ディスプレイやマウス、キーボードなどの入力機器、USBメモリや外付けドライブ類は、現在使用中のものをそのまま流用するため含まれない。

 

ケース

条件:
  • 静粛性
  • 堅牢
  • 裏配線可能
Fractal Design Define 7 Compact Black (ソリッドパネルモデル)

Fractal Design Define 7 Compact

Fractal Design Define 7 Compact
パソコンケースは、長年同じものを使い続けてきた。
とにかくいろいろなデザインのパソコンケースが登場しているけど、内部の規格は昔から変わっていないので、新しくパソコンを組もうとしても、ケースはそのまま流用できる。古くても鉄製のしっかりした構造と丁寧な造りだったので、使いまわしていた。
しかし、ケース前面のUSBソケットが当時の最新規格だった2.0であることと、そのソケット自体がヘタってほぼ使用できないこと、現行製品と比べて各パーツへのアクセスの悪さが気になりだしたこともあり、今回限りで暇を出すことにした。モノに執着することはあまりない性分だけど、これに限ってはなんだか少し寂しい気がする。
 
そして、今回新たに用意したのはFractal Designの「Define 7 Compact」シリーズ。ややコンパクトなミドルタワーケース。
ケースに関してはもっと安価なものもたくさんある。だけど、前述の理由から今回も長期にわたって使い続けることを想定し、高価でもしっかりとしたものを選定した。パソコンを自作するうえで造りが良いケースを使うのは、作業面でもインテリア面でも良い結果をもたらす。それを実感しているからこそ、ある程度高価なものを選んだ。
本来なら店頭に足を運んで実物を見て判断するところ。しかし時世がそれを許さないため、写真やインターネットの口コミを中心に比較検討した。
 
カラーはホワイトも良さそうだけれど、無難にブラックにしておいた。
また、このシリーズには側面が強化ガラス製でケース内部が見えるモデルもある。 内部が透けて見えるのは最近の流行らしい。おそらくそちらのほうが人気なのだろうけど、パソコン本体は床置きにするので、メンテナンス以外で内部を覗く機会はまず無い。あくまでも質素な「箱」として運用したい。
それと、内部から発するノイズを極力外に漏らしたくないため、ガラスではなく鋼板製にして剛性と静粛性が高まることを期待した。

USB3.0系の端子が青くないな……

USB3.0系の端子が青くないな……
Compactを謳う根拠は、5インチベイが省略されていて奥行きが短いから。いろいろ物色していて気付いたけど、最近のパソコンケースはタワー型でありながら5インチベイを省略しているものがある。これもそのひとつ。
一般的なパソコンの5インチベイの用途なんて、光学式ドライブかファンコンのパネルくらいしか思い浮かばない。昨今のニーズ的には無くしてしまっても問題ないのだろう。
ただ、今まで使ってきたパソコンには内蔵型Blu-rayドライブが搭載されている。頻度は低いけどたまに使うことがあるから、これも流用して積みこむことを想定していた。そうなると一般的なサイズのミドルタワーケースである「Define 7」シリーズが必要となる。
別段コンパクトである必要はないのでDefine 7でもよかったのだけど、これがやや強気の価格設定で、ちょっと手を出しづらかった。あまり使われない光学式ドライブひとつのためにプラス6、7千円はちょっともったいない。内蔵は諦めて、必要になったときに外付けのドライブを用意することにした。もしも検討時にDefine 7が安価に手に入るようだったら、そちらを購入していたかもしれない。
どうしても5インチベイが必要であれば、同価格帯でほかのメーカーのミドルタワーケースを選ぶほうが賢明だと思う。しっかり"静音"を謳っていて価格も落ち着いている「Cooler Master Silencio S600」あたりが候補となり得る。
Define 7 Compactにはケースファンが吸排気でそれぞれ1台ずつ、計2台が付属している。
このファン自体の回転数は低めで、動作音が煩いという情報は見かけない。ただ、いずれも3ピンコネクタなので、常にフル回転しているはず。このあたりは実際に動作音を聞いて判断するしかない。許容できないようであれば、PWM制御できる別の製品に付け替えて、アイドル時や低負荷時での回転数を抑える。もちろん、密閉度高めのケースなので、内部をしっかり排熱できていることが前提だけど。
 

電源ユニット

条件:
  • 静音性
  • 容量700W以上
  • 着脱式モジュラージャック(フルでなくてもよい)
Corsair RM850-2019- 850W

Corsair RM850-2019- 850W

Corsair RM850-2019- 850W
Corsair RM850-2019- 850W PC電源ユニット 80PLUS GOLD PS863 CP-9020196-JP

Corsair RM850-2019- 850W PC電源ユニット 80PLUS GOLD PS863 CP-9020196-JP

  • 発売日: 2019/06/22
  • メディア: Personal Computers
 
自作パソコンを作るにあたり、コストを削減しやすいものの筆頭として電源ユニットが挙げられることが多い。現にATX電源であれば、5,000円程度である程度の容量を賄える電源ユニットが買えてしまう。
ただ、実は電源ユニットの質がパソコンの寿命を決めているのではないかと思っている。各所に必要とされる電力を安定して供給しなければならない設備が、低品質でよいはずがない。
しかし相手は電気。目に見えない。見ようとするには専用機器が必要だ。そんなものは無い。インターネット上にもあまり情報がない。何をもって高品質とするのか。
 
いくつか電源ユニットを使ってきたなかで言えるのは、安すぎる物は使わないこと。身も蓋もない。でも、素人にはそれくらいしかできない。
経験では、同じ変換効率の80PLUS認証を取得している同じ容量の電源ユニットでも、安価なものは負荷がかかるとファンが全力で回って一生懸命ユニット内部を冷やそうとしたりする。変換効率の維持をファンの冷却に頼っているのだろうし、単純にうるさい。
あと、しばらく使っていると「臭い」がするユニットもあった。油の揮発したような臭い。あれは何だったのだろう。今なら怖くて使えない。
とはいえ、それもはるか昔のこと。現行製品であればその類の話は聞かないし、何を使っても問題ないのかもしれない。エントリーモデルでも日本製アルミ固体電解コンデンサを使っていたり、変換効率も7年前と比較して一律で底上げされている感じだし。
それでも、交流100Vが常時突っ込まれる部分。安心を得るために1万円以上の電源ユニットを選んでしまう。
 
性能面、というか製造メーカーの信頼性で選ぶのなら定番中の定番「ANTEC NeoECO Gold」だろう。
80PLUS GOLD認証取得 高効率高耐久電源ユニット NE750 GOLD

80PLUS GOLD認証取得 高効率高耐久電源ユニット NE750 GOLD

  • 発売日: 2017/12/23
  • メディア: Personal Computers
 
しかし今回は静音性重視で「Corsair RM850」。容量は850Wも必要ないけれど、将来性と供給に余裕を持たせて発熱を抑える目的で。
電源ユニットとメモリーは高耐久を謳っていても壊れるときは壊れる、という印象なので、これで。
といっても、将来的にもハイエンドなグラフィックボードを積んだり、CPUのオーバークロックをしたりすることはないだろうから、この価格帯はちょっともったいない気もする。しかも、NeoECOはAmazonのセール価格で1万円を切っていることにRM850を発注した後気付いた。それならNeoEcoにするべきだったかな。
 
怖いのはいわゆる"コイル鳴き"だ。これは値段関係なく個体差だったりするので、運任せである。
 

マザーボード

条件:
  • LGA 1200
  • USBポートたくさん
ASUS TUF GAMING B460-PLUS

ASUS TUF GAMING B460-PLUS

ASUS TUF GAMING B460-PLUS
時代はAMD。だけど、所々漏れ聞こえるソフトウェアの相性問題の話を踏まえると、やっぱりIntelを選んでしまう。
使いたいソフトが起動しないとき、その原因を探る際にCPUにまで及ばせることができる自信がないのだ。潜在的なトラブルを抱えたくない。

マザーボードのメーカーに関しては、過去これといった不具合に見舞われたことがないASUS製を好んで使用してきた。今回も個人的に信頼を寄せているASUSにする。
メーカー各社が搭載する独自機能にはそれほど興味がない。どれも似たり寄ったりだし、「素」の状態で安定した運用をしたい主義なので、安すぎる物も度が過ぎた高級品も不要。
高価なCPUを乗せるつもりもないので、上位シリーズの「Z490」までは必要ない。メモリーも2666MHzが動けば問題ない。値段が手ごろで、シンプルなものがいい。あくまでも安定重視。
 
というわけで見つけたのが、「TUF GAMING B460-PLUS」。Micro-ATX版もあるけど、小さいものを選ぶ理由がないのでATXとした。
背面にUSB3.2 Gen1(Gen1x1)ポートが6個。今後あえて使う機会はなくなっていくだろうけど、ケースフロントパネルのUSB2.0も生かせる。十分だろう。有線LANもIntelの1GbE「I219-V」1ポートで、これも必要十分。ゲーミングモデルを謳っているので耐久性も高かろう、という安直な理由もある。
 
このシリーズ、同等の性能でWIFIが組み込まれた「B460-PRO」モデルもある。
PROの場合はB460-PLUSから実勢1,500円くらいの上乗せで最新規格のWIFI6とBluetooth5.1が使えてしまうので、完全に一から組み立てるのであればまず間違いなくPROをチョイスするだろう。今回は、最近購入した既存のPCIe接続の無線LANカードを流用するため不要とした。

また、PROにはバックパネルの6つあるUSB3.2のうち2つがGen2(Gen2x1)である。外付けの記憶装置とデータのやり取りを少しでも高速に行いたくて、かつGen2に対応する装置を所持しているならば、PROを選ぶのもアリ。
ただ、この点についても自分の用途では特段必要でないし、高速運用であれば次世代のUSB4.0がそろそろ普及し始めるだろうからそちらに期待したいところ。

スッキリしているなと思ったら、ミニD-Sub15とかDVIが無いのか。

スッキリしているなと思ったら、ミニD-Sub15とかDVIが無いのか。
最後まで迷ったのが、PCIeはGen3.0でよいのか、という点。
最新規格はGen4.0である。ただし、現行品で4.0に対応しているマザーボードは、調べた限りAMDチップセットでは世代が新しめのRyzenが乗るモデル、Intelチップセットにいたっては一部のメーカーの最上位機種のみである。要は過渡期。
Intelは次世代から本格的に対応していくらしいけれど、それまで待ってはいられなくなってしまった。これを理由に、AMDに乗り換えるのか否か。
結局、3.0で妥協した。現状そこまで速度が必要なデータのやり取りをすることはない。関連するブログやYouTubeの検証動画を観ても、確かに高速だけどそこまで優位性を感じなかった。第一、今すぐそんなシビアなグラフィックボードやM.2 SSDを乗せる必要がない。4.0のM.2とか、まだちょっと高いしな。
そういうことにしておこう。熟れた価格と安定性を優先。
 

CPU

条件:
  • コストパフォーマンス
  • 10世代 Intel Core
Intel Core i3-10100F 3.6GHz

Intel Core i3-10100F 3.6GHz

Intel Core i3-10100F 3.6GHz
Intel CPU BX8070110100F Core i3-10100F / 3.6GHz / 6MB LGA1200 4C / 8T

Intel CPU BX8070110100F Core i3-10100F / 3.6GHz / 6MB LGA1200 4C / 8T

  • 発売日: 2020/10/24
  • メディア: Personal Computers
 
Core iシリーズが登場してからというもの、一から組み上げるパソコンに搭載するCPUは一貫して「i5」をチョイスしてきた。「i7」や「i9」ほどの性能は必要ない。だけど「i3」だと心許ない。価格もそこまで高くはないし、発熱の処理も容易い。バランスのとれたi5にしよう。そんな感じ。次回組み上げるパソコンでもそのつもりでいた。

ところが、YouTubeの性能比較の動画をいくつか観てみると、ゲームの快適度はGPU性能が左右するのは当然ながら、プレイするゲームによっては最廉価のi3でもi5、i7とそれほど違わないFPSを叩き出すようだ。

www.youtube.com

www.youtube.com

これは驚きだった。コア数が増えても、それをゲーム側で存分に使いこなすことができる作品が少ない。依然としてシングルコアの性能がものを言う世界のようだった。
それならば、ライトゲーマーと呼ぶのかも怪しい自分の用途的にはi3で事足りるのではないか?
 
最近のi3は4コア8スレッドもある。i5は6コア12スレッド。この差にどの程度の価値を見出せるのか。
「i3-10100F」は10,000円前後。「i5-10400F」は18,500円前後。どちらもTDP65W。最大周波数も両方4.3GHz。これなら上位のi5を選んでもよい気もする。でも、数値的な性能は異なっていても実働で大差ないのであれば、安価であることに越したことはない。
 
とりあえず今回は、i3にしてみることにした。やっぱり4C8TのCPUが10,000円で手に入ってしまうのが魅力的に映ってしまったのだ。どうしても性能不足が否めないのなら、その時点でi5ではなくて「i7-10700」あたりに換装すればいいだろう。
それにしても、CPUの進化は凄まじいな。4C8Tが1万円か……。
 

CPUクーラー

条件:
  • 空冷
  • 高価過ぎない
サイズ 虎徹 Mark II

サイズ 虎徹 Mark 2

サイズ 虎徹 Mark II
サイズ オリジナルCPUクーラー 虎徹 Mark II

サイズ オリジナルCPUクーラー 虎徹 Mark II

  • 発売日: 2017/06/02
  • メディア: 付属品
 
CPUの冷却は空冷が前提であること。空冷で冷やしきれないCPUはそもそも搭載しないことにしている。
その前提の上では、クーラー自体にそれほど拘りは無い。メーカーはどこでもいいし、サイドフローでもトップフローでもいい。今回の「サイズ 虎徹 Mark II」も、安価で入手性が高いという理由だけで選んだものだ。

パソコンケース付属の説明書。物理的にもきちんと収まるサイズ。

パソコンケース付属の説明書。物理的にもきちんと収まるサイズ。
今回搭載するCPUはCore i3なので、冷却するだけならリテールクーラーでもまったく問題ない。だけど、高速回転するクーラーファンの風切り音が気になるので、どんなCPUを乗せても基本的に大型のフィンを搭載したクーラーを別途用意することにしている。
120mm以上のPWMファンであれば、回転していても低負荷時はほぼ無音になる。これに慣れてしまうとリテールクーラーは使えない。
簡単に静音化できるので、4,000円の価値は十分あると思っている。
 

モリー

条件:
  • 背が低い
CORSAIR VENGEANCE LPX 32GB (16GBx2) DDR4-3200MHz XMP2.0対応

CORSAIR VENGEANCE LPX 32GB(16GBx2)

CORSAIR VENGEANCE LPX 32GB(16GBx2)
モリーに関しても強い拘りは特に無い。
高性能なCPUを搭載するでもなく、LEDでビカビカに光らせたいわけでもなく、長時間のソフトウェアエンコードをしょっちゅうするでもない。いたって平凡なクロック数で、安定して動作してくれればそれでいい。強いて挙げるならば、CPUクーラーと干渉しないよう背の低いものを選ぶくらいか。
今回搭載する「CORSAIR VENGEANCE LPX」も、Amazonで検索をかけたら一番上に出てきたから選んだ。それくらい適当だ。昔はマザーボードとの相性問題を気に掛けて慎重に選んだりしたものだけど、最近のものは挿せば大抵動作してしまうし。
余裕があるなら64GBに買い増してもいいけれど、今は価格が高いので、手を出しづらい。
 
モリーの容量は、大きければ大きいほど良いと思っている。多く積めばその分消費電力が増えるけど、デスクトップパソコンに搭載する2枚組のモジュール程度であれば微々たるもの。余程限られた用途でパソコンを扱わない限り、多めに積んでおいて損はない。
だけど、今回は予算の都合もあって32GBに留める。ブラウザで大量のタブを開きっぱなしにしたりしない限りは、これでも問題ないはず。
 

SSD

条件:
ADATA XPG SX8200 Pro 512GB Gen3
ADATA XPG SX8100 512GB Gen3

ADATA XPG SX8200 Pro & SX8100

ADATA XPG SX8200 Pro & SX8100
M.2 SSDを扱うのは、今回の自作が初となる。だから、自身にノウハウがない。インターネットで情報を集めた中で購入に踏み切ったものだ。
SSDは、既存の内蔵2.5インチタイプでも何ら不満はなく、そのまま流用する予定だった。だけど、せっかく現行のマザーボードに新調するし、最近はM.2の価格が2.5インチタイプと同等まで下がっていることを知って、「このタイミングでなくていつ切り替えるんだ!」という気になった。以前よりNVMe M.2の体感速度がどの程度か知りたかったこともあり、急遽購入してみることにした。
 
今回選んだメーカーはADATA。コストパフォーマンスに優れるらしい。

chimolog.co

信頼性と動作安定性で選ぶなら、主要構成材を自社製造していて書き込み速度が速いとされるSamsung製あたりなのだろうけど、やや高い。
定番の安価なCrucial製はQLC。中途半端な性能のWESTERN DIGITAL製。かといって、以前DRAMで使用していて早々に壊れた経験のあるTranscendやシリコンパワーあたりは避けたい。
いろいろ探し回った末、ADATAに辿り着いた。「XPG」はADATAのゲーミング製品に付せられるブランド名らしい。
ADATAの製品は、過去にSATA接続のSSDDRAMで使用してトラブルなく運用できていたので、それなりに信頼を寄せている。ただ、品質面の実情は他社とどんぐりの背比べで、今まで単にハズレを引いていなかっただけだとは思うけど。
今回は安価な製品からADATAを選んだけれど、予算が許すならばSamsungにしておきたいところ。
 
「SX8200 Pro」はOSとアプリケーション用、「SX8100」はデータの一時保管用に使用する。
比較的安価なSX8100に統一しなかったのは、BIOS画面で識別する際にどちらに何を保存しているのか視覚的に混乱しないようにするため。メーカーを揃えたのは、M.2とほかの記憶装置を感覚的に区別しやすくするためだ。
記憶容量が異なっているとより判別しやすいけれど、今回は妥協。
 
記憶容量はいずれも512GBとしている。OSとアプリケーション用に用意する容量として512GBは大きすぎる。一つ下の256GBで十分である。
しかし、大半のM.2 SSDは、同じシリーズでも記憶容量により性能に差があるようだ。基本的に容量が大きいほうが書込み速度が速い。特に256GBと512GBの差が顕著で、速度が倍近く異なる。そこで、あえて512GBをチョイスした。
1TBにすればさらに速いけど、スペック上の差はそこまでではなく、はたして体感できるか疑問だったので導入は見送った。予算が許せば、メモリー同様大きいことに越したことはないから1TBにしていた。
ただ、なぜか2TBになると速度が少し落ちる製品がある。容量が大きければ大きいほど速い、というわけでもないみたい。誤差の範疇だけど。
 
体感できる速度もそうだけど、さらにわからないのが発熱だ。M.2は、本体から結構な熱を発するらしい。
放熱するためのヒートシンクがある。

ヒートシンクの有無。

ヒートシンクの有無。
単体で売っていたり、元からSSDに装着されていたり、マザーボードに付属していたりもする。また、M.2のサーマルスロットリングは強力で、高熱になると性能がガクっと下がるらしい。だから、何か理由がない限りは基本的にヒートシンクを装着するものと認識している。
でも、そこまで熱くなるものを、マザーボードに直付けしていいものなのだろうか。Gen3だし、そこまで高性能な製品ではないので、触れられなくなるほど高温になることはないだろうけど、製品寿命を鑑みると避けたい気がする。
対策としては、CPUクーラーをトップフロー型にして周囲も一緒に冷やすか、別途ブラケットを設置してマザーボードに吹き付ける向きのファンを用意するくらいか。あるいはPCIe接続の変換カードを用意してM.2本体を別置きにする手もあるけど、なんだか邪道な気がするので避けたい。
熱に関しては、要確認である。
 

HDD

条件:
  • 既存流用
現在のパソコンには容量の大きいメディアファイルを保管しているHDDがある。これは新しいパソコンでも活用するため、流用する。
新しいパソコンでも当然SATAケーブルでマザーボードと接続することになるけど、購入したケース「Define 7 Compact」は、3.5インチベイのアプローチがしづらいとの情報がある。うまくいくだろうか。
大容量のSSDの価格がもう少し熟れてきたらそちらに置き換えるつもりだけど、それはまだ先かな。
 

グラフィックボード

条件:
ASUS NVIDIA GeForce RTX 2060 Super DUAL-RTX2060S-O8G-EVO

ASUS NVIDIA GeForce RTX 2060 Super DUAL-RTX2060S-O8G-EVO

ASUS NVIDIA GeForce RTX 2060 Super DUAL-RTX2060S-O8G-EVO
当初は自作パソコンなんて組まずに、GPUの強化だけで済ませる方向で検討していた。だから一からパソコンを組まなければならなくなったと判断してからは、グラフィックボードはコスト削減のために既存を再使用するつもりでいた。お値段、結構するし。
ただ、今まで使ってきたのは「GTX 1050Ti」。4年以上前のGPUだ。いずれは更新しなければならなくなるのは目に見えている。たとえ最廉価CPUのi3でも、ゲームをするとなるとGPU側が足を引っ張りそう。積み替えるタイミングであることに変わりはない。

というわけで、型落ち品を中古から探すことにした。
現在、グラフィックボードは旧世代でも市場価格があまり下落しないようだ。二世代前までの製品だと、中古でも新品とそれほど価格差がない。新世代に切り替わると前世代の新品が一挙に入手しづらくなることや、ある程度の上位機種であれば二世代前くらいのGPUならそこそこゲームがプレイできてしまうことなどが要因だけど、今は何といってもマイニング需要があって、そちらの影響を中古市場も受けてしまっている印象。
ゲーミングパソコンを自作するには、悲しくなるほどタイミングが悪い。

以前Radeonを使ってみたことがあるけど、ドライバーが安定しないうえに、ディスプレイの発色がややコントラスト高めで好みではなかった。その経緯を踏まえて、今回もNVIDIA GeForceからチョイスする。

昨年RTXの最新世代3000シリーズが登場し、高性能ぶりが話題となっている。

chimolog.co

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これから各メーカーから製品が出揃い、価格が落ち着くまで待つのも手だ。
でも、やっぱり高い。グラフィックボード一枚でパソコン本体が買えてしまう。最近はCPUと同様に性能向上が著しいパーツなので、WQHD画質を144Hz動作させてヌルヌルでゲームをしたいという用途でもなければ新作に手が出ない。それをするのは仕事でなければ金持ちの道楽である。当方赤字確実の貧乏人。身の程を弁えなければならない。

まず検討したのは「GTX 1660 Super」あたり。
ASUS NVIDIA GTX1660S 搭載 デュアルファンモデル 6G DUAL-GTX1660S-O6G-MINI

ASUS NVIDIA GTX1660S 搭載 デュアルファンモデル 6G DUAL-GTX1660S-O6G-MINI

  • 発売日: 2020/04/24
  • メディア: Personal Computers
 
VRAMはGDDR6だし、3DMarkの数値だけ比較すれば1050Tiの倍以上。執筆現在の価格は25,000円前後。出費を抑えたアップグレードなら妥当な選択である気もする。
しかし、シミュレーションゲームをすることが多い自分にとっては、VRAMの容量をなるべく確保したかった。1660 Superの6GBにするよりも、1050Tiの倍である8GBの「2060 Super」程度ならば、余裕を実感できるはず。対応するゲームは今のところするつもりはないけど、「DLSS」なる機能も体験したかったし。

よって、ECサイトを探して回り、「ASUS DUAL-RTX2060S-O8G-EVO」を中古で確保。38,000円。高いな。マザーボードとメーカーを揃えられたのは気分的に良いけれど。
この製品にはほんの少し厚みが薄くなった「v2」モデルがあるけれど、こちらは初代。
今まで自分のパソコンに搭載してきたGPUの中では最高性能。ただ、ラインナップ的にはこれでやっと"中間クラスに仲間入り"なのだから恐ろしい世界だ。
2連ファンでセミファンレス機能搭載だけど、ファンの口径が小さいのがやや不安な点。風量を確保するために他製品よりも高速回転するのではないか。もしそうならノイズ面で不利なのである。代わりにフィンが分厚いので、冷却性能はそちらで担保するのだろうか。本当は3連ファンの製品にしたかったのだけど、なかなか手に入らなかったので妥協。

悔やむのは、プラス1万円弱で上位機種の「RTX 2070 Super」が購入できること。もう少し時間とお金があれば、そちらも視野に入れていた。

さらに、ハイクラスのマザーボードに組み込む場合や、将来を見越せばPCIe Gen4.0に対応した最新機種の「RTX 3060Ti」にしておくのもアリだった。今回はマザーボードが対応していないのでパス。CPUもショボいしな。何より入手困難だし。

自作パソコンなんて作らずにGPUの更新だけだったなら、3060Tiにしたかった。2070と同等のお値段で買えてしまうのだから。
 

www.youtube.com

ネットワークカード

条件:
  • 既存流用
Intel WiFi 6 AX200 PCIe
以前ワイヤレスキーボードを導入した際、接続がBluetooth5.1だったので併せて購入した無線LANカード。こちらも流用する。
新規格の802.11axに対応しているけど、相応のルーターを所持していないし、欲しかったのはBluetoothのほう。LAN接続はワイヤードで行う予定。

前述のとおり、最近はマザーボードWiFiが内蔵された製品が発売されているので、一から新規に組み立てるパソコンに無線LANが欲しい場合はそちらを選べば、この類のカードは不要。

それにしても、無線LANカードのことも「NIC」と呼んでいいのだろうか。
 

小物類

CPUグリス
条件:
  • 小容量
Thermal Grizzly Hydronaut 1g

Thermal Grizzly Hydronaut

Thermal Grizzly Hydronaut
CPUクーラーに付属する正体不明のグリスは、昔からイマイチ信用が置けない。でも、それ以外なら何でもいいかな、という感じ。
ただ、買うにしても大容量のものはいらない。CPUを頻繁に取り外すようならコスト面で有利だろうけど、今回のパソコンではその想定がないので必要ない。一度クーラーを取り付けたらしばらくはそのまま弄らない。グリスはメンテナンス時かCPU交換の際に都度購入すれば済む。
「Thermal Grizzly Hydronaut」は、内容量1gより手に入るので選んだ。たとえグリスを塗り直すことになったとしても、自分の塗り方ならばこれだけでも数回分は確保できる。
オーバークロック向けを謳っているけど、その点に拘りはない。定格動作なら他社製品でも問題ないだろう。

グリスは塗りやすさについてもよく取り沙汰されている。いわゆる「熊グリス」は粘度が高くて塗りにくいことで有名だけど、そこもあまり気にしていない。大した手間ではないし、実務上は気にならない。
 
M.2 SSDヒートシンク
条件:
  • なるべく小さいもの
  • 両面実装対応

ノーブランド品

M.2 SSD用ヒートシンク

M.2 SSDヒートシンク
NVMe M.2 SSDは、熱を持つらしい。
往年よりだいぶ抑えられているらしいけど、自身の発熱によるサーマルスロットリングは現在も気になる要素として各所のレビューに挙げられていたりする。ヒートシンクが標準装備のM.2 SSDも発売されてさえいる。
M.2自体扱ったことがないので実際のところはよくわからないけれど、今回購入に踏み切ったADATAのSX8000シリーズは、発熱を問題視する情報はほぼ無かった。したがって、あえて用意するほどでもないような気もした。

しかし、動作検証によれば、ヒートシンク無しの場合、Max68度まで上がるようだ。

ascii.jp

付属のペラペラなヒートシンクを取り付けると、61度まで下がると。おそらく試験機はケースに収めていないだろうから、密閉されているともう少し上がる可能性がある。
そして、メーカーの仕様によれば、動作温度の上限は70度。

www.xpg.com

データシート

データシート
値の範囲内とはいえ、ちょっと水際を責め過ぎじゃないの? という気がした。一応、それなりの期間動いてもらうつもりだ。せめて50度台になってほしいけど、無理なのかな?

そんなわけで、今回は別売りの専用ヒートシンクを用意してみることにした。
SX8200 Proが両面実装タイプなので、それに対応するものを例によってAmazonから選んでみた。よくわからないメーカーの安価な製品である。

別売のヒートシンクを装着する上で懸念していたのは、マザーボード上のほかのパーツと物理的に干渉しないか、ということ。特にCPUとグラフィックボードの間に配置されたスロットに取り付ける場合は、あまりに大きいとCPUクーラーやグラフィックボードのバックボードにぶつかってしまう気がしていた。
よって、そこそこの表面積を確保しながらも薄型のものを探してみた。

実装の効果は、付けてみてのお楽しみ。
 
グラフィックボード用サポートステイ
条件:
  • 今回のケースに入るもの
長尾製作所 VGAサポートステイS マグネット式

長尾製作所 VGAサポートステイS マグネット式

長尾製作所 VGAサポートステイS マグネット式
長尾製作所 VGAサポートステイSマグネット式 SS-NVGASTAY-S

長尾製作所 VGAサポートステイSマグネット式 SS-NVGASTAY-S

  • 発売日: 2016/09/14
  • メディア: Personal Computers
 
当初導入の予定はなく、グラフィックボードを手に入れた段階で必要に駆られ購入したもの。
大型の放熱フィンとファンが複数付いた、なんというか歴としたミドルグレードのグラフィックボードを導入したのは、今回が初である。
一応パソコンショップなどにあるデモ機を観察したことがあるので、見てくれや大きさは想像がついていた。しかし、ボード単体でここまで重量があるものだとは、実際に手に取ってみるまでわからなかった。

グラフィックボードが重い。

1kgある……

1kgある……
マザーボードの拡張スロットに取り付けるパーツであるはずが、段々とグラフィックボードにマザーボードが付属しているような感覚になる。
最近のグラフィックボード、PCIeの3スロット目まで占有してくるのがザラだし、なんか金属製のバックボードが付いているし、水冷化も割と普通になってきているし、おまけに光るし、どんどんゴツくなっていくな。

CPUを空冷で冷やそうとすれば、クーラーも大型化して重くなる。だけど、あちらはすでに補強としてマザーボードの裏にプレートを設けて、挟みこむ構造にして対策している製品が多い。対してグラフィックボードは、未だにケース背面のブラケットにネジ止めするだけ。短期間ならいざ知らず、年単位で運用するにはPCIeスロットひいてはマザーボード側への荷重による負荷が気になる。

そこで、保険としてサポート材を用意することにした。
初めはケース上面から適当な糸で吊る形で支えることを考えたけど、なんだかみっともないのでやめた。専用パーツではなく、100均あたりに売られている部材で代用できないかと探すも、探すくらいなら専用パーツを買ってしまうほうが間違いないと考え直し、購入に至った。

今回制作するパソコンはミドルタワー型。かつ電源ユニットがケース最低部に配置されて底上げされるので、グラフィックボードからケース底面にかけてはあまり空間が確保されない。よって、直立するブラケットの背が低めの「長尾製作所 VGAサポートステイS」をチョイスした。

サポートステイはベース部の固定方法に「磁石式」と「両面テープ式」がある。
今回は磁石式を購入したけれど、結局は磁石を取り外し、両面テープで固定することにした。この点については後述する。

流行のライザーケーブルを使った縦置きする場合は、当然ながら無用のパーツである。

パーツ費用

パーツが出揃ったところで、お勘定の話。
  • 上記パーツ入手にかかる代金の合計
  • 最適化案の代替されたパーツは、すべて執筆現在在庫があることを確認できるもののうち、最安値
  • ディスプレイ、入力機器類は既存をそのまま利用する

内訳表

グラフィックボードが抜きん出て高い。しかし、ゲームのパフォーマンスでは優先順位が最高位といえるパーツであり、なるべく予算をかけたい部位なので、アリといえばアリ。
今使用している2.5インチSSD2台を流用することも考えられるけど、M.2がだいぶ値下がりしている。2.5インチSSDは下取りに出してしまえることも踏まえると、そこまでの効果は得られないか。

コンセプトを変えずにほかのパーツで費用を抑えるとなると、PCケースを先述したCooler Master製、電源ユニットをANTEC製にして、グリスをCPUクーラー付属のものにするくらいか。それが下記の表。

最適化案

グリスは誤差の範疇として、約7,000円程度抑えられる。正直なところ、この組み合わせでも何ら問題なく要求を満たせると思う。
でも、10万円を割らなかった。
毎度流用してきたパソコンケースも今回は新調しているし、その分割増しに見えるのか。とすれば、トータルとしては最適解に近かったとみるべきか。うーん。

GPU、もう一世代前にしてもよかったかな……。

クーラーに付属の謎のグリス。

クーラーに付属の謎のグリス。
とりあえず、作ってみよう。
 
組み立て編に続く

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