いつか消える文章

本当は、ペンとノートを持ち歩くことにあこがれている。

風のクロノア 1&2アンコール 所感

リリースの情報が出てから楽しみだった、リマスター版「風のクロノア」。
Steamで購入。ひとまず全実績を解除、夢のかけらを全収集したところで終了。
 

風のクロノア door to phantomile

初代プレイステーションの作品である原作は、横スクロールアクションゲームとしてかなりの完成度をほこり、紛うことなき名作である。発売当時相当やり込んだ記憶がある。
 
挿し込まれるムービーは新たに作り直されている。原作の3D映像はとても美しく感動したものだけど、リメイク版はそれほどでもなかった。ビビットな色遣いと柔らかさが融和している、あの雰囲気を美麗に再現してほしいところだったので、ちょっと残念。
また、セリフの自動送りのテンポが非常に悪く、ストレス。セリフごとの手動送りはできず、セリフ間に不自然な間がある。もう少し何とかならなかったのだろうか。

ジャンプとショットのみの単純なアクションで、パズル要素もほとんどない。20年以上前の作品でも指が覚えているのか、プレイし始めると当時の感覚がすぐによみがえってきた。
 
ただ、操作にほんのわずかな"遊び"があるようで、ショットを打とうと敵キャラクターの真横まで近づく際、勢い余って前のめりでそのまま激突する場面があり、その矯正に時間がかかった。プレイステーション版の原作はもっとキビキビ動いていたように思う。

また、ショットは上り坂でも打てた記憶があるのだけど、本作では坂道に打ち消されてしまうのが気になった。
 
ステージ構成はオリジナルとほぼ一緒。しかし、一部の敵キャラの挙動は細かい部分で変更がある。基本的には原作より難易度を下げているようだ。
反面、取得数2倍状態での夢のかけらの収集はシビアになっている。収集可能時間が短くなっているようで、すべて拾えるまで何度もやり直した箇所もある。
 
個人的に、ステージ6-1の演出の省略は残念でならない。塔外周の足場を走ると足元からキラキラした星砂のようなものがこぼれて印象的だったけど、無くなっている。クリスタルを割ると砂時計の砂のように粉状になって降り積もる演出も、単なるオブジェクトのクロスオーバーで表現されるようになってしまっている。

BGMは最高。
ただ、ボイスの一部は撮り直されていて、原作と本作の両者で明らかな差異があって違和感がある。
また、燃焼で一撃死した際の「ボフッ」というセリフが無かったり、1UP取得時の「ガシャン」というSEの省略、流水音のループが雑でとぎれとぎれだったり、ひいてはタイトル画面冒頭の「ワッフウ!」のタイミングが微妙にずれていたりと、オリジナルを知っているからこそ気になる点がかなりある。
 
原作に思い入れがある人間からすると、これらの細かな変更は「劣化」として受け取れてしまう。風のクロノアという作品が持つメルヘンでどこかノスタルジックな雰囲気を、ていねいに、もっと大切にしてほしかったなと思わざるを得ない。
 

風のクロノア2 ~世界が望んだ忘れもの~

2作目はプレイステーション2PS2)が原作。初代と比べると、画面手前と奥、高さ方向の移動が格段に増えて、主人公クロノアがステージをビュンビュン飛び回るイメージ。

ステージの随所にパズル要素が盛り込まれている。ギミックの特性をよく理解しておく必要がある。

また、サーフボードに乗り滑走する実質的な強制スクロールのステージがいくつかある。夢のかけら集めにだいぶ苦労させられた。
これらが手間に思えてやり込む気になれず、初代ほど思い入れはなかったりする。
 
初代リメイクと比べると、元がPS2だったこともあってか、新しくなったグラフィックに違和感が小さい。挟まれるムービーのセリフも、なぜかこちらは手動送りができる。
 
基本操作は初代と同じだけど、こちらのクロノアのほうがコントローラーの操作にカッチリ追随してくれているような印象を受けた。

同じステージを複数回たどることになるため世界観は狭いように感じるものの、前述のとおり移動距離が増しているので爽快感がある。
 
初代リメイクがイマイチだった分、こちらは順当なリファインのように思う。綺麗にまとまっている。

 

まとめ

期待していたけど、思っていたほどではなかったな、というのが正直な感想。
原作がすでに高水準で完成してしまっていて、いまさらそれを超えるような何かがあるとは思っていなかった。とはいえ、「リマスター版」とするならば、掘り下げたり作品の解像度を上げるようなコンテンツが付加されていてもよかったのではないか。特に初代クロノアに関しては、粗ばかり目立ってしまってもったいない。
もちろん、アクションゲームとしては純粋に面白いので、このセットで初めて風のクロノアを履修するのはアリではある。
 

続編、出ないかな。
 
終。