主に外出時に使用するイヤープラグを新調した。それに装着する、自分の耳に合うイヤーチップを探して、ようやくひとところに落ち着いたので、ここにまとめておく。

自分の耳栓事情
ノイズキャンセリングイヤホン
今月初頭に聴覚過敏らしき症状に見舞われたのをきっかけに、新たにイヤープラグ(耳栓)が欲しくなった。


これまでも、耳に入る音を調整する類のものは、外出時には必ず携行してきた。以前はいっとき「LOOP」を使っていたこともある。
しかし、安価なノイズキャンセリングイヤホンのANC(アクティブノイズキャンセリング)が優秀であることを知ってからは、そちらに乗り換えている。今使っているのは、EarFunの「EarFun Air Pro 4i」。


昨年(2025年)発売の製品。前モデルの「EarFun Air Pro 4」が良かったので、そのリニューアルモデルである本機の発売後すぐに買い替えた。
自分は、基本的にイヤホンやヘッドホンで音楽鑑賞やポッドキャストなどを聴いたりすることがない。この製品は俗にいうTWS(TrueWirelessStereo:完全ワイヤレス)イヤホンだけど、自分が求めるのはあくまでノイズキャンセリング機能であり、スマホやパソコンとBluetoothで接続したあとはなにもせず、無音状態で耳に着用し続けるということをする。

で、エントリークラスながらANCが優秀で、前モデルの時点でも十分だったのだけど、本機から搭載された「ディープANCモード」がかなり強力で重宝している。基本的にどこにいてもこの設定で固定としている。

EarFun Air Pro 4iの不満点
しかしながら欠点もある……というより、これから挙げるのは製品の性能の欠点ではなく自分自身の欠点というほうが正しいかもしれない。
ノズル形状
ひとつは、イヤーチップを社外品に替えられないこと。
自分の場合、カナル型イヤホンをしばらく着用していると、耳が痒くなってくる。イヤホンをいったん外して耳かきで耳を掻いてから再度着用。この一連の動作を繰り返すことになる。これをやっていると外耳炎になり、耳鼻科にかかったことがある。
なるべく長時間着用していたい。なのでイヤホンの耳に突っこまれる部分であるイヤーチップを、低刺激を謳うものに交換するのが恒例となっているのだけど、このイヤホンはノズルのかたちが若干特殊。


断面が楕円になっている。これは昨今発売のTWSモデルであればわりと採用していてめずらしいものではなくなっているのだけど、やっぱりまだまだ円形のものが主流。後述する理由と合わさって、代替可能なイヤーチップの選択肢が大幅に狭まるため、事実上交換不可なのである。
ちなみに、これはEarFun Air Pro 4iからの仕様で、前モデルは細い円形の断面のノズルだったりする。この仕様変更に購入前に気がついていれば、前モデルを使い続けていたかもしれない。
本体の大きさ
いまひとつは、寝ながら使いにくいこと。
自宅は集合住宅で、とある理由から望まない騒音が定期的に発生し、それを緩和する目的でもANCを活用する。就寝時もイヤホンを着用することがあるのだけど、目が覚めるとたいていの場合耳から外れている。最近は"寝ホン"なんて呼ばれている小型のモデルも登場しているとはいえ、やはりTWSイヤホンというものは図体がデカいもので、寝ている最中に物理的に外れてしまうのは、現状致しかたない部分もある。
ANCの圧迫感
さらに、感覚的かつ時限的な事例として、聴覚過敏時はANCが逆に煩わしい場合がある。独特の圧迫感が通常よりも強く感じたり、自身の発する耳鳴りのようなキーンという音が目立ってしまう。なんとも面倒くさいことに、人工的に作り出される静寂の違和感が気になりだすのである。ある程度の環境音が聴こえているほうが、脳の処理的には自然で負荷が少ないのかもしれない。
イヤープラグ
以前は電車に乗るとき、とりわけ地下鉄を利用するときには非着用だと電車を降りたあとグッタリしていたのだけど、最近はそれほど気にならなくなってきた。今なら電気的にノイズ処理までしなくても、耳に入ってくる音を下げるだけでいいのでは? と思い立ち、またLOOPに戻してみるかなーとアマゾンで検索をかけたところ、ヒットしたのがオーディオテクニカから最近発売されたばかりの「AT-ERP5」だった。


このAT-ERP5は、外耳道、つまり耳穴を完全に塞ぐのではなく、小さな穴が開いていて、内部にあるフィルターが音を調整する仕組みだという。


ノズル部にはフィルターもあり、見た目はTWSイヤホンをさらにひと回り小さくしたような印象。

ちなみに、同シリーズには「AT-ERP3」という製品もある。こちらは耳穴を完全に塞ぐ"栓"のタイプ。
以前使っていたLOOPもこちらと同じ構造だった。当然ながら音の減衰はAT-ERP3のほうが大きいけれど、今回はそこまでは要らないかなということで。
音の聴こえかた
イヤーチップを付属品のうちの最小サイズに交換して、しばらく使ってみる。
AT-ERP5の聴こえかた
耳に装着した状態の聴こえかたは、一言でいうと減衰した音が中央に集まっている感じ。
中音を中心にして、ある程度の高音と低音も聴こえてくる。そのため、耳栓なのに聴こえてくる音にレンジ感がある。また、音場がグッと狭まるけれど近くに寄るような感じはなく、むしろ離れているような印象さえある。特に人の声は、中心で、ほかの音から浮かび上がったような聴こえかたをする。このあたりは独特で、それぞれ広がっていた音が自分の目の前に一列に集まって行列を作っているような感じ、とでも言おうか。
全体的に音にヌケ感が失われて、ペタペタした平坦な雰囲気の音になる。耳を塞いだとき特有の、低音域の「ゴー」というノイズはそれなりにある。
ノイキャンイヤホンと比べて
これがEarFun Air Pro 4iになると、とりわけ低音域がしんと静まりかえる。音も全体的に小さく、遠くなり、閉塞的な雰囲気になる。
やっぱり「消音」の用法になるとANCが圧倒するんだな、となる。音を減衰するのとは性質が異なる。
イヤーチップを探す
専門店へ
耳栓であればあるいは、と一縷の希望もむなしく、着用してしばらくすると痒くなってくるのだった。素直にイヤーチップは別のものに買い替えましょう……。
秋葉原は「e☆イヤホン」へ。

イヤホンやヘッドホンのみならず、交換用のイヤーチップにおいてもたいていのものはここで試着できるので、たいへんお世話になっているお店。
AZLA SednaEarfit ORIGIN Standard
開封
で、買ってみたのが「AZLA SednaEarfit ORIGIN Standard」のSSサイズ。
近くのファミレスに入って、さっそく開封。



AZLA製のイヤーチップはかなり種類があって、いくつか試着してみていちばん着用感が良かったのがこの「ORIGIN」シリーズだった。価格もほかのシリーズと比べると少し安め。

AT-ERP5のノズルにしっかり装着できることは、当然確認済み。むしろそれを確認しにe☆イヤホンの実店舗に赴いたといっても過言ではない。
AZLAの孔径が大きいのではなく、オリジナルのほうがだいぶ小さめに作られている


耳の装着感
イヤーチップの選定基準で、個人的にもうひとつだいじなこと。チップの"傘"の部分に「医療用シリコン」が使われていることを謳っているかどうか。これは自分が着用するカナル型イヤホンではマストとなる。しかし、医療用シリコンなるものを使っているイヤーチップは、あるにはあるものの数が少ない。AZLAは、あえて「メディカルシリコン」と表記して製造元まで明かしているあたり、ウリにしていそう。
購入したSSサイズはオリジナルのチップと大きさがだいたい同じ。ただ、ノズル部が挿しこまれる筒状の部分が長めに採られている。


この形状の差によって、オリジナルのイヤーチップ装着時はシェルのシリコン部が耳甲介にピッタリくっついて収まるかたちになるのに対して、こちらは耳甲介から若干浮いた状態になる。それでも違和感は全然無いとして、これで万事OK、満足して足取り軽く地下鉄の駅の階段を下りる。
自宅最寄りの駅まで付けっぱなしでも、耳の中がまったく痒くならない。おお、すばらしい。
聴こえかたの変化
しかるに走行中の地下鉄の車内でなんとなく気づいたのだけど、どうもオリジナルよりも聴こえる音が全体的に小さくなったような感じがする。聴こえかたが変わったのはどうやら勘違いではなさそうで、自宅に着いてスピーカーからの出音でオリジナルと聴き比べてみても同じような印象になる。


おそらくシェルに開いている孔が耳甲介に接近している状態でないと、うまいこと音を取りこめない構造なのだろう。
Rhapsodio RSD シリコンチップ
やっぱり変えようか
まあ、これでも不自由は無いのだけど、せっかくフィルター付きのイヤープラグを選んだのだから、その機能を潰してしまうことはなるべくしたくない。
というわけで、アマゾンでもういちど検索。すると、同じAZLA製イヤーチップで、「AZLA SednaEarfit MAX」という製品が出てくる。
商品ページを開くと、"スタイル"が選択できるようになっていて、そこには「標準ノズル用」と「短ノズル用」がある……。

この「MAX」シリーズ、じつはe☆イヤホンでも相談に乗ってくれたスタッフの方にオススメされて試着してみたのだけど、耳にうまく嵌らず外れやすかったので早々に候補から外してしまっていた。つまり、おそらくその試着したイヤーチップがTWS向けの短ノズル用だったのだろう。気づかなかった……。
見たところ、標準ノズル用ならばオリジナルのイヤーチップに近い形状なのではないか。幸い近々また東京に出る予定があるから、そのときまたアキバに寄って実物を確認してみよう。
次善策
後日、ふたたびe☆イヤホンに向かう。

AZLA SednaEarfit MAXには、やはり二種類あって、標準ノズル用であれば案の定、期待に違わぬフィット感。ちょっと高いがこれにするかァ、と什器を見やると、欲しいSSサイズはちょうど売り切れ。アマゾンでも入荷待ちだし、ここに来れば! と思ったけどやっぱりダメだったか。
とはいえこの結果は予想できていたので、控えの一手として別の製品を購入。それが「Rhapsodio RSD シリコンチップ」である。


こちらも医療用シリコンを謳っているけど、お値段は交換用イヤーチップ全体から見ても良心的。しかし前回これを避けたのは、AZLAと比べてノズル挿入部の筒の径が少し大きく、チップの物理的な装着感がAZLAのほうが良かったから。だからといってこちらが装着できないわけではない。


耳の装着感
この透明の傘は、AZLAの半透明のものと比べるとかなり薄く作られている。ビニール質の膜は表面がペタペタするもので、埃や皮脂などがすぐにくっついて汚れやすいのが難点。


ただ、耳への装着自体はなんの不自由もなく行えるので、運用上は支障なし。

聴こえかたの変化
このイヤーチップを装着した音は、オリジナルと比べて明らかに中高音が増す。特に高音域はよく聴こえるため、高音を抑えたいような場合には合わないだろう。自分はこれでも問題ない範疇なので、このまま試着を続ける。

それにしても、イヤーチップが変わるだけでこれだけ音が如実に変わるものなのか。同じシリコンでも、耳に装着したとき変形の仕方が異なったりして、そこで音質に変化が生まれるのだろうか。といっても、自分には細かい形状まで吟味していられるほど製品の選択肢が無いし、あまり気にしない。
医療用とは
しばらく着用したまま過ごしてみるか、と食事時のファミレス店内へ。

「おー、だいぶ音が聴こえるようになったなー」とか思っているのも束の間、一時間もしないうちに耳が痒くなってくる。オリジナルよりはマシとはいえ、医療用シリコンとはなんなのか……。

AZLA SednaEarfit MAX Standard
結局
こうなったらやることはひとつで、入荷を待っているAZLA SednaEarfit MAX Standardの早期確保である。完全にスルーしていたサウンドハウスに在庫があることがわかり、即発注。


結局、AZLAのメディカルシリコンに自分の耳を託すことになった。

このイヤーチップには、シリコン一体成形のワックスガードが施されている。そのぶん「ORIGIN」シリーズよりも高価。


あつらえ向き
形状も、これまでのなかでオリジナルに最も近い。そしてなにより、クリーム色のカラーは、AT-ERP5のゴールドとの親和性が驚くほど高い。



耳に装着した感覚も、オリジナルと変わらない。これは聴感にも期待が持てる。
聴こえかたの変化
いちばん最初のAZLAの「ORIGIN」シリーズとは逆の変化で、やや音のボリュームが上がる傾向にある。中高音が若干持ち上がったように感じる。予想ではほぼ一緒か、ORIGINほどではないにしろ下がる方向だと思っていたので、上がるのは意外。ノズルのスロートの部分がオリジナルのチップよりも径が大きいからだろうか。

試しに着用のまま就寝。イヤープラグ本体が耳から外れることなく起床。耳も痒くない。上々。
これから
ようやく最適なイヤーチップを見つける旅を終えられた。これからはAT-ERP5を常用していくことになるだろう。

いっぽうで、ノイズキャンセリングイヤホンの扱いをどうするか検討したい。上述したとおり、イヤーチップの選択肢がない。ANCの性能を落としてもいいから、ノズル形状が一般的なものに買い替えて、AZLAのような医療用シリコンを採用したイヤーチップに交換して快適性を上げるか。e☆イヤホンで手に取った感じ、finalの「ZE300」あたりが価格が手ごろでデザインも好みだったし。
しかし、今使っているEarFun Air Pro 4iのANCも便利で捨てがたい。最近は使う時間が減っているとはいえ、「音を減らす」のではなく「静穏」が欲しい瞬間は、どうしてもある。それはノイキャンの性能がある程度強力でないと難しいかもしれない。ZE300、ANCのかかり具合は控えめだったしな……。

終。




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