いつか消える文章

本当は、ペンとノートを持ち歩くことにあこがれている。

Victor SP-FS1 に MarkAudio CHN519 を載せてみる

ビクターの天然木小型スピーカー「SP-FS1」のエンクロージャーに、マークオーディオのメタルコーンフルレンジユニット「CHN519」を搭載してみた。その所感。
内容はスピーカー整備というより、ほぼ木工作業である。

 

桜スピーカー

以前より気になっていたスピーカーだった。ミニコンポ用スピーカーでありながら、板材に天然木無垢材を使用しているという製品。それがビクターのSP-FS1である。

Victor SP-FS1
スピーカーのエンクロージャーといえば、大方がMDFかパーティクルボード、あるいはその併用で組まれている。スピーカーに限らず、家具に切り出した材木をそのまま使うケースはあまり無い。自然材ゆえ節があったり、時間経過で収縮し割れたり、反りやねじれなど狂いが発生するためだ。構成材としてではなく、表面の仕上げに突板として使われることが多い。
しかし、このスピーカーは、ヨーロピアンチェリーという広葉樹の木材を採用しているらしい。

全体的に赤みがかっている
ビクター(株式会社JVCケンウッド)のオーディオコンポといえば、振動板に天然木を使用した「ウッドコーン」シリーズが大変人気である。
その初号機登場が2003年。対して、このSP-FS1はその数年前に登場した1990年代の製品。ドライバーユニットは一般的なものではあるけれど、エンクロージャーの意匠はなんとなくウッドコーン初号機のそれに似ていたり、「木」に拘っているあたり、こちらが原形なのかもしれない。

前面ネット装着時
今回、某ECサイトで中古の良品を入手することができた。
 

外観

幅12cm、奥行18cm程度の、ブックシェルフ型のなかでも小型の部類。
色味は赤みがかっている。ただ、濃度にかなりバラツキがあることから、おそらく塗装されているわけではなく使用されているニスの色だと思う。

側面
飴色に近い赤褐色は、これはこれで良いと思う。
側面と比較すると天面と底面の板材の色味が濃い。心材と辺材を使い分けているのだろうか。
色味の濃いほうは、木理にオイル仕上げのような輝きがあって、美しい。

ニコンポでこの仕様は贅沢だな
背面には、スナップイン式のケーブルコネクターとバスレフポートがある。

背面
筐体の背面側までしっかりとR加工が施されているところも、コストがかかっている。

所有感がある
対して、ドライバーは凡庸なものだ。8cmコーンらしいけど、若干小振り。

フルレンジドライバーユニット
金属剥き出しのフランジに、ラバー製のエッジ、ポリプロピレンのような樹脂系の振動板。黒一色ということもあり、ここだけ妙に無骨に見える。

エッジは柔らかく、わりとダンプする
とはいえ、そこまでクオリティを求めだしたらいよいよ単品システムの域になってしまうので、妥当といえるだろう。
 

SP-FS1の音

とりあえず、音を聴いてみる。
アンプはいつものように、ヤマハのAVレシーバー「RX-S602」。
ケーブルは、ベルデンのツイストケーブル「8470」を端末処理したもの。
出音に関してはあまり期待していなかったのだけど、思いのほかしっかりした音を繰り出してくる。
クセの無いナチュラルな質感。エネルギーのバランスも良く、どこかに偏ったりしていることがない。
特に意外なのは低音で、この小さな体積にしてはけっこう下のほうまで鳴っている。量感はそれなりではあるけど、ヤマハのアンプでこれだけ出ていれば不足感は無い。
 
音場感、音域的なレンジ感はやや狭め。しかし、温度を感じる音で、耳に優しくずっと聴いていられる。
これ、悪くないぞ?
 
周波数特性を見てみる。

周波数特性(SP-FS1)
クセの無さは波形にも表れている。
低域は65Hzあたりが持ち上がっている。もう少し上のほうでもいい気がするけど、こういうチューニングなのだろう。

普通に聴ける
 

分解

内部を見ていく。
フルレンジドライバーユニットは、六角穴のネジを外すだけ。
ケーブル接続用のタブが横向きに、しかも同一方向に向いているユニットは初めて見た。

マイナス側は折り曲げたのかな
防磁設計のドライバーは、カバーで覆われているものの、そこそこの径のマグネットを背負っているように見える。

フルレンジユニット。JVC VGS0801-009
振動板は樹脂製だと思っていたけど、内面側から見てみると紙製にも見える。貼り合わせているのかもしれない。

紙に樹脂を含侵させているのか?
背面の埋込型コネクターユニットとバスレフダクトを取り外す。
ダクトは筐体内部から少しずつ押し出せば外れる。コネクターは少量ながら接着剤が使われているため、前面側から内部に棒を突っ込んで、ハンマーで叩き出す。

力業
ひとつはそれでうまくいったけど、もうひとつは孔の辺部が割れてしまった。

Oh......
ネクター側に付着していた接着剤の固形物が、板材の切り口に引っ掛かるようにして剥がれた模様。

このくらいなら貼り合わせられる
しかしながら、思いがけず木材の内部を窺い知ることができた。切り出した材木をそのまま板取りしたのではなく、合板だったわけである。
そうなってくると、"無垢"というのがなにを指すのか、ということになる。貼り合わせた表面だけチェリー材で、それ以外の心材などは別の素材である可能性が十分ある。
  • チェリーの無垢板100%で構成
  • チェリーの無垢板を一部に使用
  • チェリーの無垢板を合板に使用
これらは話がまったく違っても、無垢材を使っている点で嘘はついていないわけだ。
 
まあ、そんなことは判りようがないのでこのさいどうでもいい。
欠けた表層材はシーリング材で補修して、次へ進む。
筐体を組む板厚は、約10mm。
エンクロージャー内部は、底部にニードルフェルトの吸音材があるのみ。

底部

天面
 

整備

このSP-FS1というスピーカーは、界隈ではドライバーユニットを別製品に交換をして楽しむという風潮がある。今回はそれに則って、別のフルレンジドライバーを換装してみることにする。
 
ついでに、外装のカラーを変更する。個人的に、色ムラが野暮ったくて気になるからだ。
ただ、この「ついで」として始めたことが、とんでもなく手間のかかるものとなってしまった。
 

エンクロージャー外装の変更

エンブレム、ダボの撤去
既存の仕上げを剥がすため、筐体の外装にあるものはなるべく外しておく。
前面下部のエンブレムは、ダボ穴に接着剤で固定されている。グリグリと捻じるように引き抜く。

引き抜いた図
前面ネットを固定する樹脂製のダボも外す。これは、返しが付いたダボ自身を引き抜くだけ。

けっこう力が要る
ただし、こちらは捻じってしまうとダボが引きちぎれてしまう。プライヤーの先などでつまんで引っ張るようにしたほうがいい。

千切れたダボ。これでまた余計な手間が増えた
背面の孔の拡大
背面のコネクターユニットが固定されていた貫通孔は、新たにバナナプラグ対応のバインディングポストを取り付けたい。同じく埋込ボックス型とするためには孔の径が小さいので、少しだけ拡大する。
表層が剥がれないよう気をつけながら、ルーターでゴリゴリ削る。
仕上げの除去
その後、既存の仕上げを剥がす。基本的にランダムサンダーに頼ることになるけど、角部だけは余計に削れることを嫌って手作業となる。

角部は比較的すぐに剥げる

右が作業後の状態
ニスを剥いで素っ裸にすると、木地はけっこう明るい色調であることが見て取れる。ただ、天面と底面の暗めの木は明らかに堅く、それ以外の面の明るい木は柔らかめとなっていて、質感が異なるのが素人でもわかる。やはりなにかしら材木を使い分けているようだ。
初見では心材と辺材の違いかと思っていたけど、天面と底面は合板ではなく集成材のようだから、無垢のチェリー材とはここのことを指していて、それ以外は別の素材であることも考えられる。

両側面は色の違いが顕著
また、ところどころ小さな節も見受けられる。インターネットによると、ヨーロピアンチェリーというのは家具に使われる材木としてメジャーらしいけど、そこまで質の高いものでもないのかもしれない。
着色(失敗)
いつもならここでワトコオイルを使ってオイル仕上げとするところなのだけど、今回は見た目の色差を平滑にしたいので、色を定着させる。
それならステインがいいかなと、ホームセンターへ向かう。そこで、ジェル状の塗料というものを見つける。今まで扱ったことはないけど"Water-Based"とあるし、要は水性ステインだろうと思い購入。

正体を事前に調べず購入した
「ワックス感覚で使える」との謳い文句があるけど、どちらかというと外見も中身もヘアワックスである。

でんぷん質のブヨブヨした塗料
初めは、メーカー公式の塗りかたのひとつである水で湿らせたウエスで塗っていた。しかし、色素がかなり薄いのか、何度塗り返しても希望の濃度になかなかたどり着かない。また、ウエスでは溝内などの細かい部分は塗りこめない。
どうにもおかしいなと思いながらメーカーのハウツー動画を観ると、
「歯ブラシや綿棒などで塗ることができます」
とのこと。
「だったら全部刷毛じゃダメなんか?」
となり、結局刷毛塗りに変更する。

刷毛でいいじゃん

手も汚れないし、これでいいじゃん
ジェル状である必要性はどこにあるんだろう、色ムラになるだけなんじゃないのか? と訝しみながら塗り終える。
そして約90分後、次の塗装前に400番の紙やすりで均そうと擦ると、ズルリ塗料が剥け落ちる。

なんじゃこりゃ
擦ったところから塗料がまるで消しゴムのカスのように丸まって落ちて、木地が露わになる。

天面も同じく
やっぱりなにかおかしいと思い、アマゾンの販売ページを見る。すると、「水性ペースト状ニス」の文字がある。
どうやらこの製品、いわゆる着色ニスの一種らしい。ホームセンターではステインの棚に陳列されていたから水性ステインだと思っていたのに。事前によく調べずに感覚で購入した報いを受ける。
 
当然、やり直し。塗料をすべて削ぎ落とす。

ひたすらメンドクサイ……

なんとか復旧
新ドライバー装着用の加工
ここで、発注していた新しいスピーカーユニットが到着する。MarkAudio製の「CHN519」という、8cmメタルコーン搭載フルレンジドライバーである。

ようやく入手できたぞ
別のドライバーを取り付けるにあたり、当初はフルレンジであれば木製振動板のパークオーディオ「DCU-F101W」がいいだろうと考えたものの、天然木のエンクロージャーに木製振動板はあまりにもありきたりだろうことと、エンクロージャー側の加工が必要であるため、取り止めた。また、あまり高価なドライバーを設けるつもりもない。
 
そこで、ここは木材とは対極のメタルコーンを搭載したCHN519はどうだろう、となる。筐体の加工は最小限で、かつコストパフォーマンも高い。金属製振動板の高速性と木製筐体は相性が良さそうだと思ったのだ。
ただ、人気製品ゆえ入手性が悪い。今回は秋葉原のコイズミ無線にてたまたま少量在庫が復活したタイミングで購入できたのでこうして手元にあるけれど、この記事を制作している現在は再び売り切れで、再入荷はひと月後らしい。

MarkAudio CHN519
さて、このドライバーユニットは、フランジにネジ孔が5つある、少しめずらしいタイプ。そのため、エンクロージャー側の既存の4つのネジ穴は利用できない。
しかし、むしろそのほうが好都合なのである。既存のネジ穴の位置に合うユニットを探してみると、使用できる製品がかなり限られてくる。かといって、新しいユニットに合うように新たにネジ穴を開けようとすると、既存のネジ穴に呼ばれてうまく開けられなかったりする。それゆえ、既存のネジ穴をまったく無視できるこのスピーカーユニットこそ、筐体側の加工を最小限にできるのである。
とはいえ、いきなりタッピングネジを捻じ込むのも怖い。適当な木板を使って下穴とタッピングネジの効き具合をシミュレートして、確認しておく。

セリアで購入した桧板材
購入したドライバーにはなぜかネジが付属していなかったので、手持ちの黒塗りの六角穴タッピングネジを使用する。ネジはM4相当。本当はM3.5がちょうどいいのだけど在庫が無く、発注してもいつ届くかわからないため、M4とする。下穴は3.2mm径のドリル刃。
 
問題なさそうなので、本番へ。

ピンバイスでゆっくりと作業
なかの合板が割れるんじゃないかとヒヤヒヤしたけれど、アクシデントも無くしっかり固定してくれているようだ。

各々のネジをゆっくり順番に締めていく
今思えばこれ、上下逆さまだったな。逆にしておけばさらに余裕をもって固定できた。
 
このユニットを取り付けるにあたりひとつ心配だったのが、フランジ部の"はみ出し"だ。前面バッフルの両サイドにあるR加工された部分からフランジが飛び出すのではないかと思っていた。
ユニットを固定してみると、やはり飛び出している。ただ、そこまで目立つものでもないから、許容範囲ということにしておく。

隙間があるように見えるけど、ネジをちゃんと締めると塞がる
着色(再挑戦)
ドライバーユニットはいったん取り外し、筐体の再塗装を進める。
今度こそ正真正銘水性ステインを購入。和信のオールナットカラー。もちろん刷毛塗り。

ちゃんと浸み込んでる

2回目の塗装終了時点の図
乾燥後に研磨をかけながら、四度塗り。水性ステインは薄めず原液で濡れるのが良い。
中塗り
塗り終えたらすぐにクリヤー塗装とはいかず、あいだにサンディングシーラーを挟む。手持ちにスプレータイプのサンディングシーラーが余っていたので、それを二度塗り。
塗るごとに2000番のスポンジやすりで軽く撫でておく。

2度塗りして研磨した図
木製ダボ
ここで、新しいダボを作っておく。
既存のダボ穴は径が5mmなので、ホームセンターで手に入る5mm径の木の丸棒を適当な長さに切って代用できないか試してみる。

試作してみたダボ
これでも悪くはないけれど、加工精度の問題なのかなんとなく手作り感が出てしまう気がする。金属製の専用のダボを買ってもいいのだけど、それもけっこうなお値段。
インターネットにお伺いを立てると、100均ショップのセリアのDIYコーナーに5mm径の木製ダボの取り扱いがあるとの情報を得る。おそらくそれなりに大きめの店舗でないと売られていないだろうとちょっと遠出して、無事ゲットする。

100均、なんでもあるな……
これを適当な長さに切り、黒に着色してダボ穴に接着するだけ。ただし、固定には2液性エポキシ系接着剤で強固に接着する必要がある。
仕上げ
最後に、1液形ウレタンクリヤーで仕上げる。要は透明ニス。
今回は光沢のあるクリヤー樹脂とする。これも、手持ちの都合である。
すべての面を最低5回、木端と木口には10回以上塗り重ねている。乾燥後の研磨はしたりしなかったり。

ようやく仕上がったぞ
ニスに埃や細かい粒子上の不純物が混ざることを防ぐため、一面塗るごとにニスを入れ替え、刷毛を洗浄するという果てしなく手間のかかることを敢行。そのおかげで、素人の刷毛塗りにしてはかなり綺麗に仕上がったと自負している。

ぱっと見ではどこにムラがあるのかわからない
ただ、完璧ではなく、どうしても塗りムラや埃の混入はある。このあたりは、つや消しのニスのほうが目立たないだろう。

わずかにブツブツしたものが見える
塗料選定の失敗も含め、ここまでの作業で丸三日を要している。しかも、これは乾燥が比較的速い水性ステインを使用しての時間である。あえて水性塗料を使用した理由はここにある。油性だとさらに時間がかかるだろう。
 

吸音材の追加

エンクロージャー内部に吸音材を追加する。
側面の片側にのみ、薄いフェルトシートを貼る。

これもセリアに行ったときに買ってきたもの
定在波の抑制目的だけど、どの程度効果があるかはわからない。ただ、このスピーカーは、なんとなくあえて吸音材を減らして木材の響きを生かすような意図があるような気がするので、追加するにしてもこの程度に留めている。

吸音というより、音を乱反射させるようなイメージ
もっとしっかり張り巡らせるなら、以前別のスピーカーで使用したグラスウールを採用するだろう。
 

バインディングポスト、ケーブル

最後に、背面のコネクター部とケーブルを構成して完了となる。
ネクターユニットは、アマゾンでも購入できる汎用の角型ボックスを採用する。
このテの安いコネクターユニットにありがちなのだけど、ポストのシャフトがABS製ボックスを貫通する孔が大きすぎて、付属のナットとスプリングワッシャーでもポストを堅固に固定できないものが存在する。

こんな感じ
今までは別途ワッシャーを用意したり平型端子が刺さるタブを使用せずに丸型圧着端子に替えたりして対応していたところ、今回はM4のフランジナットを使って無理やり固定してみる。
つば付きのナットで、タブ諸共座面で抑えつけてしまう。別途ナットを用意する必要があるものの、付属のタブをそのまま使用でき、かつ施工的に単純で簡単だ。
 
内部のケーブルは、BELDENの「STUDIO 708EX」を採用。ちょうどよい長さで余っていたため。

ケーブルも最近高騰して入手しづらくなってきた
ネクターユニットの固定には、M3.5相当の皿タッピングネジを使用する。念のため、ここも下穴を開けてからの固定とする。

背面の姿
 

CHN519搭載の音

組み上がったので音を聴いてみる。

完成後の姿
想像どおり、応答性が良く、軽快に鳴ってくる。中高音の伸びの良さが冴える。
金属音は、耳に刺さらないギリギリのところ。シャラシャラした感じはしない。
高めの中音域の情報量が多い。音場感は横方向はそれほどでもないけれど、パース感があるため奥行き方向には立体的に聴こえる。
 
反面、低音はあまり聴こえてこない。これはドライバー換装前のノーマルのSP-FS1のほうが安定感があったように思う。
 
ボーカルがもっと前に出てくるかと思っていたけど、平均的。定位がしっかりしているので、埋もれて聴こえてこないということはない。
 
ノーマルのSP-FS1はやや暖色系で、CHN519換装後のこちらは寒色系。有機的なノーマルに対し、音の正確性に重きを置くような鳴りかた。性格がまるで異なる。
 
周波数特性を見てみる。

周波数特性(CHN519 + SP-FS1)
基本的にフラットで、特段センシティブな部分は見受けられない。中音域より上はメーカーが公表しているユニットの周波数特性とほぼ同一の稜線である。
改修前と重ねて比較してみる。

改修前後の周波数特性
グラフが重なるようにアンプの出力を若干調整しているため、正確な比較ではないものとする。
こうしてみると、ノーマルのSP-FS1の特性が悪いかというと決してそんなことはないことがわかる。9kHzから14kHzくらいまでの差異は、音の伸びやかさや静粛性の違いとして表れている気がする。
また、聴感上は換装後のほうが低音が出ていないように感じるけれど、データ上はそこまで差は無い。そのほかの音域の情報量の多さから、相対的に低音が少なく聴こえるのかもしれない。
 

まとめ

見てきたとおり、ほぼエンクロージャーの塗装に時間を割いているため、スピーカーの整備というより木工をしている気分だった。仕上がりは上々だけど、別に木工をしたいわけではないので、退屈な作業を続けたわりには音的に想像を上回ることがなかったのが残念ではある。

シルバーと枯れた風合いのブラウンが良いコントラスト
とはいえ、流行りのドライバーを聴くことができたのは良かった。現行の8cmフルレンジドライバーを搭載したスピーカーをちゃんと鳴らすのは、記憶するかぎり今回が初めてのことで、音の張りとトランジェントの明確さには舌を巻く。ニアフィールドで小音量で聴く分には、これで十分なんじゃないか。
 
終。