いつか消える文章

本当は、ペンとノートを持ち歩くことにあこがれている。

DIATONE DS-B1 発売当時のレビュー記事抜粋

ダイヤトーンのスピーカー「DS-B1」発売当時の各オーディオ雑誌に掲載されたレビューから、音に関する部分を抜粋し以下にまとめる。
 
 

ステレオ 1995.6.

ベスト・バイ・コンポ スピーカーシステム3万円未満

(前略)量感こそ少ないが、音楽のなかにある低音楽器の動きがとらえられる。壁から1.5mは離して、しっかりした置き台に置けばよい音が出る。

マイ・ベスト・ワン 3万円未満のスピーカーシステム

(前略)そして高音域についても音波の拡散が滑らかで、スピーカーの後方によく音が回ってゆく。それだけに大型に比べて音場再現性がよいのだ。(後略)
 

ステレオ 1995.7.

ステレオ試聴室 話題の新製品を聴く

石田善之評
(前略)レンジ的に、低域はサイズ面での制約があるが、その中で無理なく楽しめ、感じさせる低域になっている。そして、それに見合ったハイエンドのロールオフの考え方など、スピーカー造りの基本をおさえたものと言えるだろう。最も大切な中域を主体としてレンジを拡大する中に、大きなピークやディップをおさえ、なかなかうまくまとめている。中〜中高域がわずかに強めだが、このあたりが音全体を明解にしゃっきりとさせている。特に人の声には有効かつ自然なものになっている。ピアノも低〜高域までスムーズで、空間にのびやかに広がる感じをよく伝える。オーケストラのティンパニーなど若干ボンつき気味だが、全体として厚く、うまくまとめられて弱点が目立ちにくい。小音量でもバランスに崩れがない。
入江順一郎評
(前略)サランネットを外した状態では、ややハイ上がりになっており、かなり明るさを伴っている。従って、音の汚れはないものの、オーケストラでは少し賑やかで、ボーカルでも少しタイトになっている。サランネットを装着すると、バランス的には改善されるが、やや細かい音がマスキングされ、ピアノでもくっきりさはあって少しタイトだが、中低域あたりで少しこもりが出るようだ。女性ボーカルでは、ややハスキー系でクールな感じもある。ブラスはネットのせいか立ち上がりは、あまりはっきりしないが、ブラスらしい感じは出てくれる。オーケストラになると、これもネットのせいだと思うが、あまり細かい音は出ずやや散漫な感じで、少し小ぶりな展開になっている。
金子英男評
(前略)エネルギーバランスそのものは中高域から高域にかけて上昇しているものの、音の感触である部分が違った様相をみせ始めていて、突っ張る部分がかなり少なくなって、あたりの良い方向に転じているので違和感はかなり減っている。全体の音の構成は、明快な音造りをしているものの、めり張りの強い感じは少なくなっていて、割合音楽を受け入れ易くなっている。特にバランスとしてはネットをセットした場合が良い方向になりあたりも良くなる。(後略)
神崎一雄評
(前略)楽しい色選択式の前面ネットは装着して聴くのがベター。低域は軽くソフトだが中〜高域は明快。高域は華やかな傾向を秘めながら鋭く硬直することがない。声は男声はやや若返るが伸びがよく、女声はリアルなニュアンスを聴かせる。軽やかなタッチのギター、明るく躍動感のあるジャズ、など印象的だ。音像定位は明確。音場感は広がり奥行き感ともに大きく展開し、その空気感は温かい。ダイヤトーンのスピーカーシステムとしては(中略)特異な存在と言えよう。ハイCP比な入門機のひとつだ。
福田雅光評
繊細でクリアなトーンが基調になり清涼感豊かなフラットバランスで整い現代調のサウンドが心地よく楽しめるのは魅力である。強調的な要素がなく綺麗な表情で高音の細部まで丁寧に描写、音場も透過性に優れ透明に広がり、SN比は充分に高い。濁りなく複雑なプログラムでも混濁する様子はない。音像感としてはスリムな傾向をみせるが全体に明瞭で表情は豊かだ。低域はバスレフ型であるが、ダンピングの効いた弾力があり、ボリューム主体でないのがいい。澄み切った音場、明快な陰影を聴かせるピアノ曲、音像コントラストも良好に得られ、スムーズに抜けきるボーカル系など、使いやすく表現もこの価格としては格調が高い。レンジ感も充分に広がる。弦楽器のつやも柔軟な質感も楽しめ、背景の空間も広がっている。明るいタイプの中音であるが、硬質に押されることはない。(後略)
 

ステレオ 1995.10.

長岡鉄男のローコスト・コンポはここを見て選べ

(前略)インテリア性重視の設計だが、音も往年のダイヤトーンサウンドが甦ったみごとなもの。
 

ステレオ 1995.11.

聴きまくり! '95国産海外最新コンポーネント試聴レポート スピーカーシステム

(前略)このスピーカーのいい点は、コンパクトなわりに音の芯が非常にしっかりしているところで、ピアノの音の芯がきれいに出ていたと思います。一方弦楽器などでは、多少ドライな感じはしますが、これは低域の量感というものが多少抑えられているせいではないかと思います。もちろんある程度は伸びてはいますが、量感的にやや低域が薄い所があって、響きそのものがそれほど深くならない感じがあります。けれどもそれが全体の適度な明るさにつながっている点で、なかなか手なれたところを感じました。
金子英男
ダイヤトーンは、ここのところ少しハードな傾向のスピーカーが多かったんですが、これはその中でもなじみのいいスピーカーだと思います。明るさはかなり持っていますが、音声の存在感を結構持っていますし、トゥイーターはそれ程細かいところまでは出しませんが、輪郭をはっきりさせる良さがあると思います。スピーカーの平均値からいくと、多少まだハード傾向なほうかもしれませんが、音楽のおしつけがましさは以前のダイヤトーンから見るとずっとおとなしくて聴きよくなっていると思います。値段からしても、かなりよくまとまっている製品ですね。