いつか消える文章

本当は、ペンとノートを持ち歩くことにあこがれている。

Pioneer S-UK3 発売当時のレビュー記事抜粋

イオニアのスピーカー「S-UK3」発売当時の各オーディオ雑誌に掲載されたレビューから、音に関する部分を抜粋し以下にまとめる。
 

morning-sneeze.hatenablog.com

 

広告 (ステレオサウンド 1993. AUTUMN)

鮮明・広がり・いきいきとした表現力をもつ。
イギリス生まれのシンプル2Way S-UK3誕生。
"Simple is Best" 私はそう固く信じている。だから信号経路は短かく、シンプルであるべきだ。パイオニアの新しい高純度再生テクノロジーをもって、"Non Compromised …(妥協しない)"を貫いて生まれたスピーカーS-UK3。音質に大きく影響を及ぼすネットワークを取り去ることにより、ウーファーのダイレクト結線を実現。このためソースにこめられた音楽そのものを聴くことができる。きわめてクリアで、広がりと奥行きをもった音場感、そしていきいきとした表現力。現代のブリティッシュサウンドを、いま音楽を愛するあなたに…ジョン・バンフォード。
 

ステレオ 1993.9.

STEREO試聴室 今月の新製品を聴く 藤岡誠

(前略)本機は英国で先行発売されたモデルを日本国内向けにチューンアップした製品である。(中略)たっぷりとしていながらも最終的にはほどよく制動がかけられてきた低域。高域もソフトドームの中では質感の良い前述した某社製だからまずは文句なしといってよい。2ウェイで難しい中域あたりもヘタリがなく、声の声域もスムーズ。そして音場空間が広い。これは、この価格帯の2ウェイでは数少ない特徴であろう。
 

ステレオ 1993.11.

聴きました! 今年の新製品集中試聴 石田善之・福田雅光

福田
いろいろプログラムを聴いてみると、実に雰囲気のあるサウンドづくりだなという感じがしました。非常にまろやかで温かいムードで満たされる、そういう質感表現が特色になっていて、全体としてそれで統一されているという感じです。歪み感の少なさ、音の荒れというのを特に感じませんし、バランスも特に誇張されるところがない、素直な帯域展開です。(後略)
石田
(前略)中域を評価したいです。大変密度の高い、情報量の豊かな中で、伸び伸びと低域や高域にレンジが広がっていくという感じで、誇張感がないのが一番気に入っているポイントです。低域もかなり引き締まって、オーケストラのフォルテの部分、トウッティの部分でも解像度が甘くなることもなく、エネルギーがぐんと高まっていくというあたりなかなかの表現力だったと思います。それから、ボーカル帯域をうまくカバーした鳴り方をしますね。ただ単にレンジ感の問題ではなく、その間でのピークやディップ、音の密度性、ちょうどこの中に入ってくるクロスオーバーなど、実にうまくつながった自然さを感じさせます。個性もあり、いい意味での自己主張をしていたように思います。
 

ステレオサウンド 1994. WINTER

'93-'94 ザ・ベストバイ・コンポーネント595選 スピーカーシステム20万円未満

井上卓也
(前略)豊かに弾む低域と伸びやかで鮮度感の高い高域は、いかにも2ウェイ機ならではの爽やかさ。この明るいサウンドバランスは、低音量時にも家庭内での会話を妨げずに幅広い分野の音楽が楽しめ、素晴らしく魅力的である。
細谷信二
コンパクトシステムの中では、ヴォーカルの発音の細やかな部分をきれいに出す能力をもつ。これまでの同社の明るさと元気の良さ一辺倒ではなく、むしろ明るさを適度に抑えて中音域の素直さを重視した印象の音だ。何よりも派手さで勝負していた感があったこのクラスの音を、質的な魅力で聴かせる方向に変更した点がうれしい。
 

HiVi 1994.1.

新AV時代への羅針盤 ワイドビジョンにベストな小型スピーカーを釣り上げろ! 佐久間輝夫

(前略)全体には、かつての気品あるブリティッシュサウンドを彷彿とさせながら、現代的なレスポンスの速さが加わった音といってよい。ところが、映画のSEが前に出てくる割に、セリフは遠目に定位する。そして、「これがLDの音?」といいたくなるくらいヒスノイズが発生していた。いくら近接視聴とはいえ、LDでこんな聴こえ方をするはずがない。視聴機に、何らかのトラブルが起こっていたに違いない。
 

ステレオ 1994.2.

現代ローコストスピーカー総ざらえ試聴会

金子英男
高域と低域の質感の表現の感覚が少し違うところを持っていて、高域は軽く艶ののったものを持っているし、中低域以下は少し膨らんだバランスのため、音楽の中の帯域によって印象が変わってくるところがある。逆に言えばそうした高低のバランスによって成り立っているところがこのシステムの特徴だが、キャラクターとしては独特。
斎藤宏嗣
(前略)再生帯域をかなりコンパクトに押さえながら、その中で中低域と高域との特徴を対比させ、あらゆるソースを軽やかに再生してくれるようなパターン。ボーカル等は決して太くならず、シェイプアップされた感じである種のさわやかさがある。