いつか消える文章

本当は、ペンとノートを持ち歩くことにあこがれている。

DALI ZENSOR 1 発売当時のレビュー記事抜粋

DALIのスピーカー「ZENSOR 1」発売当時の各オーディオ雑誌に掲載されたレビューから、音に関する部分を抜粋し以下にまとめる。
 
 
 

ステレオ 2011.9.

STEREO試聴室 話題の新製品を聴く スピーカーシステム部門

石田善之 ★★★★
高域からハイエンドに向けてやや強さを感じさせるが、この価格からは信じられないくらいのなめらかなf特感である。この高域の上昇は全体的な抜けの良さや音の鮮度感につながり、分解性の良さや爽やか感を多少演出する傾向ともいえそうだ。(中略)ジャズのベースなども程よい弾みとエネルギー感を聴かせ、小型ながらバスレフの上手な設計を思わせる。ボーカルのサ行などがやや強めの傾向になるのは、フロントネットの使用で多少改善される。
貝山知弘 ★★★☆
(前略)前回取り上げた中型機と比べると音の纏まりがよくその分使いやすいといえる。(中略)全体のエネルギーバランスを聴くと中・高域が少し張り気味の傾向はあるが、幸い不快感は生じていない。音場の拡がり、音のクリアネスや切れ込みはほとほどだ。音像の定位はくっきり表現できており2ウェイシステムの特徴がはっきりと判る。
神崎一雄 ★★★★
(前略)明朗感が軸になった音だが引き締まっていて量感充分な低域などサイズを忘れさせるところがある。音場は豊かに展開し、音像定位も明確、音楽の表現も生き生きしている。(後略)
須藤一郎 ★★★★
(前略)再現されるサウンドステージには軽快な躍動感に支えられたエネルギッシュなサウンドイメージが定位する。密度感にも優れたバランスの良い響きの美しさは充分に高品位である。声楽などの明瞭な質感も好印象である。混濁感もなく開放感の雰囲気も悪くない。ジャズボーカルのハスキーさなどにはあでやかさの雰囲気が融合して心地良い。オーケストラも充分にエネルギッシュで肉付きも良い。
 

ステレオ 2011.12.

注目製品ファイル 石田善之

パッと音が出た時、まず粒立ち感の良さ、明解な一音一音をハッキリと、曖昧さを持つことなく聴かせる。独奏のチェンバロを聴いても粒立ち良く落ち着き感があり、全体としてわずかに高域の強い印象があるものの、大きなピークやディップを感じさせない。歌曲でもジャズヴォーカルでも明解で声に力があり、センター定位もしっかりと中央に結び、音像もコンパクトにまとまる。(中略)少しサ行が強い傾向があるものの、このZENSOR全体に言えることとしてステレオとしての快適さをスイートスポットと呼ぶ1点に集中させるのではなく、たとえスピーカーから離れて聴いていても快適な味わいを目指すとしている。(中略)そんなわけでいわゆる軸上で聴くと少し高域が強くなるようだ。小型としての低域だが本機はリアバスレフ型であるが、例えばジャズのベースなどもしっかりとした音像やピッチに曖昧さがなく、常にクリアさを失わない良さがあるのと、いわゆる低価格機にありがちなザラッぽさや粗さなどもほとんど感じさせない。そのCP比の高さを大いに聴かせる。
 

ステレオサウンド 2011年秋号

TEST REPORT 話題の新製品を聴く 和田博巳

(前略)音質は実に立派なもので安っぽさは微塵も無く、ちゃんと品位を感じさせるダリの音色である。ただし130mmウーファーなので、『ヴィニシウス・カントゥアリア』の大太鼓は、その直径1mが50cmくらいの感じになる。とは言え決して痩せているわけではなく、硬質感もない、まことに伸び伸びとした鳴りっぷりのよさだ。ヴィニシウスのヴォーカルには胸の厚みの温かみも感じられてこれも文句なし。価格を横目に書いているので、つまりこんなに安いわりには凄いということで、やや褒めすぎの感はあるかもしれない。でも小型スピーカー好きの私が感心するほどいい音なのだ。
小型スピーカーは最初定位置で少し聴いた後、スピーカーの間隔を少し狭めて再度聴くことが多いが、今回は大型スピーカーと同じように感覚を十分にとったまま通して聴いた。クラシックのオーケストラの豊穣なサウンドが部屋いっぱいに満ちて、心まで豊かな気分にさせてくれたからだ。
 

オーディオアクセサリー 2011. Winter

新製品スクランブルテスト 小林貢

13cm口径ウーファーの小型機だけに低域方向の伸びに限界はあるのは否めないが、以前の同社製品のイメージよりも低音の切れがよく解像度も高まっているように感じられた。「ジュビレーション」(ウッディクリークCD1008)を聴くと、2本のトロンボーンの音色を正確に表現し、鳴りの良さを感じさせる伸びやかなトーンが得られたのが好ましい。ヴォーカルも声量感があり、小型2ウェイ機だけに音像定位も正確で、スケールはいくぶん小ぶりになるが立体的な音場感が展開された。(後略)
 

オーディオ・ベーシック 2011年秋号

NEW SOUND REPORTS 注目新製品レポート 村井裕弥

(前略)きちんとしたスタンドに載せ、本格的な駆動系で鳴らすと、予想をはるかに超えてキビキビ鳴り出し、私たちを驚かせる。
立ち上がりのとんがりや、情報量をごまかすことなく、ソフトをありのままストレートに伝えようとする正統派で、そのくせ弦楽器やボーカルが鼓膜を刺激することもない。また、こんなサイズにもかかわらず、オケの低域が深淵へと沈み込み、ジャズ・ベースなどに至っては、「これでもか」というほどリアルに聴き手へと迫る。