いつか消える文章

本当は、ペンとノートを持ち歩くことにあこがれている。

「となりのハト 身近な生きものの知られざる世界」を読み終える

「となりのハト 身近な生きものの知られざる世界」(著:柴田佳秀)を読み終える。
鳩に関するあれこれを、やや軽忽な文調でまとめられた本。
 
今の住まいに移り住んで一年。近くにちょっとした林があり、天気のいい日中家でボケっとしているとその方面からキジバトの独特な鳴き声が聴こえてくることがある。
以前住んでいたところは今よりも都会で、聴こえてくるものといえば自動車や遠くを走る電車の走行音などばかりだった。家賃を抑えるため交通の便が悪い田舎に引っ越してから、鳩は身近な鳥となった。
そんな折、たまたまSNSで紹介されていたこの本と縁があるような気がして、手に取ってみたのだった。
 
バス停でバスを待っていると、天敵がいないからか、鳩が木陰の地べたに座って休んでいるのを見かける。首を畳んで、猫の香箱座りのように丸まっている姿は可愛らしいのだけど、丸みに一役買っているいわゆる「鳩胸」は、ほとんど筋肉であることをこの本で初めて知った。
それまで、あのふっくらした丸みは羽毛の毛並みだろうと思っていた。そうではなく、長大に飛ぶための筋肉であり、強力な「エンジン」なのだという。平和の象徴としてのイメージがあるけど、なかなかガッツのある鳥らしい。
 
また、日本でよく見かける土鳩は、外来種の可能性が高いというのも意外だった。
祖先となるカワラバトはヨーロッパや西アジアに生息していたものの、どういう経緯で日本にやってきたのか、人と鳩の付き合いが古すぎてよくわかっていないらしい。あいまいなまま関わりが深いがゆえにこの時代まで日本全国に棲み続けることを許されてきたというのも面白い。
 
個人的には、雀よりも鳩のほうが身近に感じる鳥である。また、害鳥というと鳩よりもカラスをイメージする。
都市部では近年数を減らしてきているようだけど、なんとかうまい具合に「そこら辺にいるのが当たり前」であり続けてほしいものだ。
 
終。