いつか消える文章

本当は、ペンとノートを持ち歩くことにあこがれている。

JBL XE-1 をメンテナンスしてみる

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JBL製スピーカー「XE-1」のネットワークのコンデンサー換装に際し、分解ついでにほかにもいくつか整備したので備忘録として記す。
 

ネジの錆び落とし

ドライバーユニットはそれぞれプラスネジ4本で留まっている。
もともと黒錆加工されていたようだけど、半数くらいは赤錆が浮いていた。

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ツイーター。「TW025XE」

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ウーファー。「203GN」
同じネジを新たに用意するのも手間なので、錆を落として再利用することにした。
 
錆びの除去に浸け置きタイプの錆び落としを使用した。

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独特の臭いがある
薬剤にネジを浸すと、すぐに化学反応が始まる。そのまま一晩放置。
一応それなりに綺麗にはなったけど、ほとんどのネジは黒錆まで取れてしまった。

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錆びの除去後
まあ、いいか。
水で洗い流した後は、特に磨くことはせずそのままユニットに使用した。薬剤の防錆効果の維持を狙っている。本当は磨いた後二度漬けするのがいいのだろうけど。
 

ネットワークのコンデンサーの交換

エンクロージャーから吸音材とネットワーク基板を取り出す。
小さな基板がファイバーボードに木ネジで直付けされている、質素なもの。

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これだけ
当時のカタログによれば、「各ドライバーの性能の良さを生かすため、ネットワークは最小限のパーツで組んだ」旨がアピールされている。そういうことらしい。
 
ツイーターは直列の電解コンデンサーとセメント抵抗。
ウーファーは直列の鉄芯コイルと並列の電解コンデンサー。

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XE-1のネットワーク基板実装面

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XE-1のネットワーク基板はんだ面
シンプルなネットワーク。
コンデンサーは2つとも同じものが使用されていた。BENNIC製両極性アルミ電解コンデンサー。50V3.9μF。
静電容量を計測してみると、2つは5μF。もう2つは6.7から7μFを示した。また容量が増えていた。

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今のところ、容量抜けのコンデンサーに出会ったことがない
よくわからないのが、クロスオーバー周波数は公称で3kHzとなっているのに、静電容量3.9μFのコンデンサーでは計算が合わない。
想定する値とあえてずらしているのだろうか。だとすれば、そういうのってスピーカーのネットワーク設計では当たり前なのかな。
 
とりあえずいずれも同容量のフィルムコンデンサーに換装する。

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メタライズドポリプロピレンフィルムコンデンサー 3.9μF

dp00000116.shop-pro.jp

オリジナルがBENNICで揃えているので、新しいものもそれに合わせてみた。安いし。
 
芯が錆びているコイルのほうも更新したかったけど、既存のインダクタンスが不明で、前述の理由から控えた。

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コイル、結構値が張るからな……
セメント抵抗も、抵抗値が出ているのを確認して、そのまま。

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BENNIC 5W2R2J 2.2Ω
基板にはうまい具合に空きホールがあったので、そこを利用させてもらった。

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将来の補修用? または別のスピーカーでも基板を流用するためか
俵型のフィルムコンデンサーはそのまま乗せられないので、リード線をラジオペンチでフォーミングしてからプリントにはんだ付け。

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はみ出すコンデンサ
 

ネットワークの基板の拡張

そのままエンクロージャーに戻そうかと思っていたけど、一応コンデンサーの固定のために基板の面積を拡張することにした。
100均ショップで買ってきたMDF板とタッピングネジセット。

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MDFパンチングボード 5mm厚
MDF板は、ウーファー穴の直径以内の寸法で切り落とし、そこに既存の基板をネジで固定。
コンデンサーはホットボンドでMDFと接着。

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10.5x10.0mm
すべてのパーツをMDFに移して、配線は圧着でもよかったけど、面倒なので止めた。
 
MDFにさらにこれをエンクロージャー内にネジで固定。

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長尺のプライドライバーがあると便利
配線と吸音材を戻し、ドライバーユニットに結線。
錆を落としたネジ類でユニットをエンクロージャーに固定し、復旧。

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完了後の姿
 

音出し

既存の電解コンデンサーの静電容量が大幅に狂っていたため、改修後はクロスオーバー周波数がずれて音も変わっているはず。
 
鳴らし始めは低音域だけが出ている状態。しかし1時間程度でその他の音域も聴こえるようになった。この傾向は先日のNS-10MXとは異なる。
 
聴感上だけど、200Hz周辺がモゴモゴして野暮ったい印象。男性ボーカルがこの周波数帯にかかるとゴモったように聴こえることがあるのが気になる。これは手を入れる前にはなかった現象だ。
時間経過でぜひとも変調があってほしいところ。ダメなら吸音材の材質変更を試してみるか。

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スポンジ状の吸音材がウーファー真後ろに
中低域はクリアになった代わりに、存在感というか勢いが減少。
ただ、今まで聴いていたスピーカーがドライでキレキレのNS-10MXだったので、どうしても無意識にそちらと比較してしまっているのかもしれない。両者は、性格が異なるスピーカーだ。
 
高音域は、今のところ可もなく不可もなく、といった印象。刺さるような音は一切なく、淡々と鳴らしている。もうちょっと艶があってもいいな。
 
なんにせよ、このスピーカー入手時に聴いた際の感動はない。

morning-sneeze.hatenablog.com

 

まとめ

これまでいくつかスピーカー内のコンデンサーをアルミ電解コンデンサーからフィルムコンデンサーに変更してきて感じているのが、フィルムコンデンサーは音が優等生になる傾向にあるのかもしれない、ということ。スピーカーの持つキャラクターが平滑されて、音が大人しくなるような気がする。
特に低音域を担うユニットにおいて、あえて電解コンデンサーをチョイスするのもアリなのかもしれない。いずれ、同じ機種で"ALLフィルム"と"ALL電解"で両者にどの程度音の違いが表れるのか、確認してみる必要がありそう。

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しばらくメインスピーカーとして聴き続ける
終。
 
(以下資料)

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