いつか消える文章

本当は、ペンとノートを持ち歩くことにあこがれている。

USBスピーカー JBL Pebbles と サンワサプライ 400-SP091 を聴き比べる

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サンワサプライから発売されているマルチ入力スピーカー「400-SP091」を入手して、JBLのUSBスピーカー「Pebbles」と比較してみた。その所感。
 

導入動機

JBL Pebbles が品薄

ヤマハの「NS-10MX」を入手して、スピーカー選定の旅はようやく落ち着いたと思っていたのに、未だネットオークションサイトで古いスピーカーやアンプを覗いては性能を調べたりしている。
その折、USB-DAC内蔵スピーカー「JBL Pebbles」が、高値で出品されていることに気がついた。Pebblesは、作業スペースに置いてあるパソコン用のスピーカーとして、この春から使用しているものだ。

morning-sneeze.hatenablog.com

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タツムリ型スピーカー「JBL Pebbles
それまで知らなかったけれど、Pebblesは数年前に製造を終えていたようだ。今年の春に買い直したときは、Amazonで新品を普通に購入できたので気付かなかった。最近になってついに在庫流通分の底が見えてきて、入手がしづらくなっているということらしい。

 

代替品はあるのか

Pebblesの後継機は、今のところ発表されていない。以前「Pebbles Mini」という製品が発売されたけど、日本未発売の上、短命に終わったようだ。
現況で音沙汰無しということは、後継機の登場は絶望的なのかもしれない。
USB-DAC内蔵アクティブスピーカーで、100V電源を必要とせず、USBケーブルをパソコンに挿すだけで稼働する。しかも、数多の同系の機種とは一線を画す音を鳴らす。個人的に非常に優れたスピーカーだと思っている。それが今後手に入らなくなるのは、ちょっと残念。
 
現行機で代替できるものがあるのか気になったので、調べてみた。ただ、卓上アクティブスピーカーはいろいろあれど、USBケーブルだけで動くDAC内蔵スピーカーとなると、途端に該当数が減る。それでいて、Pebblesと同等の金額で手に入らなければ意味がない。
昨年登場した「Creative Pebble V3」あたりが妥当なんだろうけど、初代Pebbleをデモ機で聴いたとき特別良い音だとは思わなかったことと、ドライバーの角度が上に向き過ぎていて自分の環境には合わないので買いづらい。

 

JBL PS3300

たまたま見つけたのが、「JBL PS3300」と呼ばれる機種。

jblchina.cn

どうやら中国市場向けらしく、これもまた日本未発売。
PS3300は、Pebblesと同じくDAC内蔵バスパワードスピーカーで、大きさも同等、価格も近い。しかし、異なるのはBluetoothに対応すること。要は無線機器の類になるので、日本ではいわゆる「技適マーク」が付いていないと使うことができない。日本で展開しない製品なら、わざわざ日本の技術基準適合証明なんてしないだろうから、技適マークは付いていないと考えるべきだ。
 
ところが、国内メーカー「サンワサプライ」から、PS3300のそっくりさんが発売されていることを知った。

watchmono.com

スペック的にPS3300と同一。外観は2インチユニットの色が異なるだけで、形状も見るからに一緒。しかもAmazonで6,000円で買えちゃうとなれば、これはもう使ってみるしかない、となったのである。
 

サンワサプライ 400-SP091

外観

Pebblesの形状が特殊なこともあるけど、色艶形がいかにもパソコン用スピーカー然としている400-SP091。

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400-SP091 と Pebbles
寸法は奥行きがPebblesより短いものの、高さと幅は少し長い。

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横から見た画
そして、重量がやたら軽い。見た目は400-SP091のほうが重そうだけど、比べるとPebblesのほうが圧倒的に重い。
 
背面にバスレフポートがあるのは一緒。

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400-SP091の背面

ユニット

一番の特徴として、この大きさでツイーターを備えている。しかもウーファーが上段、ツイーターが下段に配されている。低音を担うドライバーをユニットの上部に持っていく設計はほかの製品でも見かけるけど、この価格帯のアクティブスピーカーでは初めて見たかも。机上面の音の反射を減らすためだとすれば、妥当なのではないか。

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布地のソフトドーム型ツイーター
ただ、一見は2WAYスピーカーだけど、正確にはマルチウェイスピーカーではないのかもしれない。というのも、サンワサプライの製品説明では、このスピーカーを「バスレフ型フルレンジスピーカー」と称している。

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取扱説明書より
俗にいう「ウーファー」にあたると思われる2インチユニットは、実はLPFを介していないフルレンジスピーカーユニットなのかもしれない。とすれば、1インチツイーターは高音の周波数帯域を担うのではなく、あくまでフルレンジスピーカーユニットの高音域に重ね掛けるための補助として備えているととれる。
こういった仕組みのスピーカーを何と呼ぶのか、勉強不足で自分は知らない。ユニットを二つ使っているのだから、2WAYスピーカーと呼んでいい気がするけど、それならばメーカーはなぜわざわざ「フルレンジ」としているんだ?
 
いや、積んでいるのは間違いなくフルレンジスピーカーユニットだけど、性能的に出力できる高域の周波数が20kHzに届かないから、その分をツイーターで補っているのかもしれない。
 
それとも、仕組みは一般的な2WAYスピーカーだけど、単に「高音から低音まで鳴りますよ」という意味で「フルレンジスピーカー」を掲げているだけなのかもしれない。入力方法が3つあることを指して「3WAYスピーカー」と宣伝しているあたり、あり得ないとも言い切れないんじゃないか……。

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サンワダイレクト本店の製品紹介より
要するに、この辺は自分にはよくわからない。
 
前面にユニットを覆うサランネットなどの保護がないため、本体に触れる際は特にツイーターのドームを誤って指で潰してしまわないよう注意が必要である。
 

端子類

右スピーカー背面に入出力端子がある。

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技適マークもちゃんとある
入力が3.5mmステレオミニとUSBmicroB。出力が左スピーカーへの音声出力。
100Vコンセント不要。パソコンとUSB接続すればすぐに使える。Bluetooth接続と3.5mmステレオミニプラグを使う場合は、それぞれ入力のほかにUSBケーブルによる電源供給が必要。
なお、ケーブル自体はスピーカーに付属している。

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付属のUSBケーブル。1.2mもある
端子がmicroBのオーディオ機器って、中国メーカーの比較的安価なUSB-DACで見かけたことがあるくらいだな。
 
前面の押しボタンで、3種類の入力を切り替える。LEDはインジケーターで、色により現在どの入力なのかを判断する仕組み。
ボリュームボタンは、パソコンと連動である。

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上が電源/入力切替。下がボリュームボタン

出音について、400-SP091はUSB接続でPebblesと比較した。
また、それぞれ空気録音したものを編集して聴き比べられる動画を作った。


www.youtube.com

Pebbles

以前のレビューを参照。

morning-sneeze.hatenablog.com

相変わらず綺麗な音を出すスピーカーだ。
以前は机に直置きだったけど、今回はスピーカースタンドの上に置いている。そのためか、低音域がややスッキリとした印象。
波形上は中音域、特に700Hz周辺は400-SP091のほうが出ているみたいだけど、聴感上はPebblesのほうがハッキリと聴こえるのが不思議。

400-SP091

バスレフポートはPebblesにも備わっているのだけど、400-SP091のほうが低音の量が格段に多い。筐体の体積が大きいことが影響しているのだろう。エンクロージャー全体で響かせるような鳴り方をする。質が良いとは言い難いけど、小さいなりに頑張っているな、という印象。
JBL Quantum Duoのような低音特化の音ではなく、中高音域もそれなりに出ている。ボーカルに関して、動画ではPebblesのほうが色鮮やかに聴こえるけど、実際には400-SP091も意外と前に出ていて、深みがありニュアンスがよくわかるのはむしろ後者だったりする。
10kHzあたりが若干持ち上がっているのは、ツイーターの影響だろう。2インチユニットを塞いでみると、ツイーターからたしかにそれっぽい音が出ているのがわかる。ただし、自分の耳が鈍っているわけでなければ、ものすごく薄く感じる。この音が高音域にどの程度影響しているのか、判断つかない。
ジャズやローファイなヒップホップなど、音の数が少ない楽曲では、艶っぽい400-SP091のほうがマッチすることもあるだろう。
 

まとめと今後

代替できるか

音の面でまず言えることとして、400-SP091はPebblesの代替にはなり得ない。
音の質が違う。上位でも下位でもない。ある意味当たり前だけど、別種の音だった。
ただし、Pebblesが消えてゆく現況、USBケーブル一本でそこそこ鳴るスピーカーという面で言えば、400-SP091を候補として挙げてもいいんじゃないかと思う。Pebblesのハキハキした音に慣れているとややくぐもって聴こえるけど、400-SP091の特性を解ってくれば、馴染んでいく可能性もあるだろう。

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横置きにしても違和感がない。むしろカッコいいのでは?

改良

とはいえ、気になる点もある。やや彩度に欠けるのは、低音域の主張がその他の帯域の音を潰している気がする。
どうやら400-SP091の内部には、吸音材が一切入っていないようだ。容易に改良できそうなポイントである。
 
また、そのうち手を付けることになりそうだ。
 
終。