既存の加湿器の動作をSwitchBotで自動運転化してみた。その所感。
結論としては、想定通りにはいかなかった。それでも一応ここに記しておく。
やりたかったこと:
"自分が部屋にいるときに室内の湿度に応じて加湿器を自動でON/OFFさせる"
最適解:
"湿度センサー付きの加湿器を買う"
動機
冬場やエアコンにより室内の空気が乾燥しているとき、100V駆動の安価な卓上加湿器と床置きの小型サーキュレーターを稼働させていた。しかし、加湿器は手動で電源をOFFにしない限り加湿し続けるので、気がついたら部屋中が湿気でベトベトになっていた、という経験が幾度かあった。喉の乾燥は感じないけど、湿度が高すぎてもカビの発生が怖い。
また、加湿器と併用しているサーキュレーターも、床に屈まないと電源の操作ができず億劫だった。
最近になって既存のノーマルな家電をスマート家電化する機器の存在を知り、これらの課題を解決できるのではないかと期待してAmazonでセール中だった「SwitchBot」を購入してみた次第。
一応室内にはWIFIも飛んでいるから、導入環境としてハードルが低かったのもある。
製品
今回購入したのは3種。
ハブミニ (Hub Mini)
SwitchBot スイッチボット スマートホーム 学習リモコン Alexa - Google Home IFTTT イフト Siriに対応 SwitchBot Hub Mini
- 発売日: 2019/09/27
- メディア: Tools & Hardware
温湿度計
スマートプラグ (WIFIコンセント)
SwitchBot スイッチボット スマートプラグ Wi-Fi コンセント – タイマー 遠隔操作 音声コントロール Alexa Google Home IFTTT Siriに対応
- メディア: Tools & Hardware
当時、3つで7,000円くらい。意外と安価だなという印象。
SwitchBotは、照明や換気扇などのいわゆるタンブラスイッチを自動化するいわゆる「指ロボット」で有名みたいだけど、今回は不要なので使用しない。
当初、自分のやりたいことをするだけだったら温湿度計とスマートプラグのみ用意すれば事足りるのではないかと思っていたけど、後述する動作条件の設定の際にハブを噛まさなければならないことがわかり、この3点となった。
AlexaやSiriなどの音声コントロールの類を一切利用していないけど、動作自体はとりあえず問題ない。
スマートプラグの外箱の説明と説明書の記述に矛盾を見つけた。
「扇風機のON/OFFができる」とあるのに、扇風機は接続禁止とある。
要するに「自己責任でね」と言いたいのだろう。
ハブの電源はUSB。温湿度計は乾電池。
取扱説明書も一応付属しているけど、クイックガイド的な簡素なもの。メーカーホームページにもう少し詳しい説明はあれど、あまり詳細ではない。前述の通信方法についても明確な記載は無く、各々実際に動かしてみてどんな通信をしているのか推定しながら確認したものだ。
わざわざ記さないのは簡単に利用できることを前面に出したいからだろうけど、一度つまづくとドツボにはまる感じが往年のADSLルーターを彷彿とさせる。
わざわざ記さないのは簡単に利用できることを前面に出したいからだろうけど、一度つまづくとドツボにはまる感じが往年のADSLルーターを彷彿とさせる。
準備
設定と操作はすべてスマホにインストールした専用アプリケーションを介して行う。
例によって文章表現に少し癖があるけど、操作自体は難しいものではない。
ハブは赤外線通信のリモコンの機能も果たすので、とりあえず部屋にあるリモコンを登録してみた。
エアコンとパソコンディスプレイの操作をスマホからできるようになった。ただ、基本的にすることといえば電源の入り切りだけ。今回は温湿度計があるのでそちらと連動させることもできるけど、そもそもエアコンには自身の温度センサーで自動で運転調整する機能があるので、手動によるON/OFFだけにした。
しかし、そもそも今回はこれをメインに利用したかったわけではない。オマケ程度にとらえていた。
温湿度計とスマートプラグもアプリ上に表示されているけれど、ここでは基本的に状態の表示のみ。動作の設定は、アプリの「シーン」機能から行う。
この「シーン」機能が、ハブがないと操作できないようになっている。要はアプリで登録した各々の機器の動作指示をハブに集約して行っているようなのだ。
原理としては理解できるけどなんだかスマートじゃないな、という印象。ハブの赤外線通信は要らないので、もっとシンプルに、温湿度計とスマートプラグだけで連携できるようになっていてほしかった。
温湿度計は、何の変哲もないデジタル表示の計測器。
センサーの性能が高いことを謳っており、正確かどうかはともかく、自宅にある安い湿度計よりも湿度の変化に敏感なようだった。
スマートプラグのほうは、横幅の長い直付けの一口コンセントタップのような外観をしており、差込口のすぐ右横にある丸い押しボタンがON/OFFのスイッチになっている。
また、透明のリング状の部分は赤と青のLEDによるインジケーターになっており、100Vが供給されている限り何かしらのカラーで光り続ける。
今回はここに加湿器とサーキュレーターを接続したかったので、2股のタップを別途購入。
アプリ側でスマートプラグに任意の名称を付けられるので、ここでは「加湿器コンセント」とした。
そして、自動実行の条件を2つ設定する。
- 「湿度60%未満で加湿器コンセントON」
- 「湿度65%超過で加湿器コンセントOFF」
これで、加湿器とサーキュレーターの電源を入れっぱなしにしておけば、温湿度計が計測した湿度に応じてスマートプラグが自動でON/OFFしてくれるはず。そういう算段だった。
動作
しかし、実際の動作は結構緩慢だった。
湿度が70%となっているのにスマートプラグがOFFにならない。逆に55%なのにいつまでもONにならなかったりする。これが頻発するのだった。
よくわからないのが、この現象はランダムで発生することだ。設定した条件通り、湿度60%を下回った瞬間ONになったりもする。たまたまいずれかの機器の通信状態が悪かったのかと、すべての機器を一か所に集約して動作させてみても変化なかった。
50%切ったあたりで思い出したかのように「カチッ」と音を立ててスマートプラグの電源が入るのは、割と腹が立つものだ。そこをサボっちゃいけないだろう。
ただ、おかしいと思いつつもこれはまだ我慢できる。気にしなければいいだけだ。
致命的なのは次だ。
このSwitchBot、アプリで設定した条件は部屋の住人が居なくても実行し続ける。正確には、部屋内にスマホが無くてもハブが動作していれば条件内容を履行し続ける。これが、自分の場合は不便でしょうがなかった。「部屋に人がいるときだけ」動作してほしかったのだ。
これはおそらく、製品のコンセプトのひとつとして、「部屋に誰もいなくても家電が自動で動いてくれる」というシーンを想定しているからだろう。それは別にいい。だけど、それを簡易に停止させる術がない。
スマートプラグには手動でON/OFFできる押しボタンが付いている。しかし、このボタンでOFFにしても、そのまましばらくして湿度が低下していき、設定条件に合致するとONになってしまう。「次にボタンを押すまでOFF」とはならないのだ。
やりたかったのは、ハブとスマホの通信状況による条件分け。つまり、部屋に人がいるとき=ハブとスマホが通信できる状態だけ動作、居ないとき=ハブとスマホが通信できない状態ではすべてOFFになるか、連動を止める。そういう条件を設定できない。
ではどうすればいいかといえば、手動で条件設定自体を一時的に機能停止状態にさせるしかない。そして、これがなかなかの手間だ。
部屋を出たくなったら、まず、スマートプラグの状態を確認する。ONになっていれば、押しボタンを押してOFFにする。次に、アプリを起動して前述の2条件を無効にする。一度設定した条件は、アプリ上のトグルスイッチで有効無効を選べるようになっているのだ。最後に、スマートプラグのインジケーターを見る。アプリで条件を無効にする前に自動実行でONになっていないか確認するのだ。
これで、晴れて安心して外出できる。
そして、帰宅後はアプリを立ち上げて再度条件を有効にする。
そう。そんなことするくらいなら、従前どおり加湿器とサーキュレーターの本体スイッチを弄るほうが速いし確実なのだ。
もう少し簡単な手もある。ハブに刺さっているUSBケーブルを引っこ抜く。ハブが動作していなければそもそも連動しないからだ。ハブ本体には電源ボタンがないので、停止させるにはUSBケーブルを断つしかない。
ただ、これも結局は機器の電源を物理的にON/OFFするだけなので、従前と大して変わらないことになる。
さらに、ハブはログ機能を搭載していて、連動している各々の機器の状態を記録しスマホでリアルタイムで確認できるようになっている。当然ながら、電源が落ちている間は記録されない。せっかくのスマート家電化なのに、便利な機能を生かせない。
現在
結局、SwitchBotは使わなくなってしまった。
2週間くらい使ってみただけだから、なにか別に解決策があったものを見つけられなかっただけかもしれない。だけど、上記の解決を機器とスマホのアプリのみで完結できないなら、素直に使用をあきらめる。ほかの機器やいろんなサービスを使ってまでスマート化する意義もないから。
先日加湿器が故障したため、ちょっとお高めの湿度センサー付きの加湿器に買い替えた。事前に設定した湿度を上限として、自動で加湿を調整してくれる。現状、この機器の導入が自分が想定した動作に一番近いのだった。
ほかのメーカーは知らないけれど、自分の想定している「スマート」は、一般的なそれと趣旨が少々異なるようだ。
手に余る代物だったな。SwitchBot。
とはいえ、1万円未満で機器を一式揃えることができたのは良かった。今後に期待。