昨年11月、打鍵音の改善を目指し手を加えたワイヤレスメカニカルキーボード「Keychron K8」。
時間をかけた甲斐もあって満足いく仕上がりとなった。
しばらく使い続けたけれど、ふとした瞬間さらなる修正点を発見してしまい、どうすれば改良できるかなんとなく模索していた。
しばらく使い続けたけれど、ふとした瞬間さらなる修正点を発見してしまい、どうすれば改良できるかなんとなく模索していた。
キーボードを再度分解、組み立てる気力が湧いたので、その作業内容を再び記しておく。
前回改造内容
前回改造内容
今回の改造目的も前回と同様、打鍵音の改善である。
ケースにEVAを履かせる
ある日、K8をたまたまパームレストの上に乗せた状態でキーを打った。すると、机の上とは異なる、理想にかなり近い打鍵音を奏でたのである。
前回の改造結果でも確認できたいわゆる「箱鳴り」がなく、キースイッチの純粋な動作音だけが聞こえる状態になったのだ。底打ち時の倍音がなくなり、「コツコツ」という静かな音に変化していた。要は、キーボードの下にマットを敷いた状態と同じ効果が得られたようなのだ。ただ、だからといって机に常時マットを敷いておきたくない上に、キーボードをたたく際に逐一マットを敷くのも手間。
そこで、この偶然発見した音を、K8の樹脂製ケース側に手を加えることで再現できないか試してみた。
パームレストのような厚いウレタンフォームをケースの底にくっつけるわけにはいかない。ただし、ある程度弾性がないと機能しない。なおかつケースが机の上で滑らない材質である必要がある。
K8の足は、硬めのゴムパッドである。 よって、ゴム以外の材質で上記を満たす材質となると、EVAくらいしか思いつかなかった。
当初は、東急ハンズで1mm厚のEVAシートを1枚手に入れ、それを適当に切り張りすればいいかと考えていた。 ところが、近所の100均で思いがけず便利なものを見つけた。家財に付けるキズ防止パッドである。 厚みがあり、両面テープも最初から付いている。おあつらえ向き。
既存のゴムパッドを取り払う必要がないのも良い。EVAフォーム表面はスベスベしているけど、ある程度荷重をかけた状態だと多少グリップが効く。 というわけで、これをケースの底面に貼っていく。 ケース裏面に8か所、まずは仮置きで都度出音とタイプ時の本体のバランスを確認して、パッドを貼り付ける位置を決める。一応、軽く脱脂しておく。 結果、以下の配置で貼り付けた。 スペースキー側に重点的に配置し、ファンクションキー側は2枚だけ。既存のゴムパッドと同じようなバランスとなった。
結果、パームレストのウレタンフォームには及ばないものの、打鍵時にケース本体から発していた倍音がわずかに抑えられ、キースイッチの素直な音が聞き取りやすくなった。低音の硬い「ドン」という音が無くなった。本当にわずかな差だけれど。
そこで、この偶然発見した音を、K8の樹脂製ケース側に手を加えることで再現できないか試してみた。
パームレストのような厚いウレタンフォームをケースの底にくっつけるわけにはいかない。ただし、ある程度弾性がないと機能しない。なおかつケースが机の上で滑らない材質である必要がある。
K8の足は、硬めのゴムパッドである。 よって、ゴム以外の材質で上記を満たす材質となると、EVAくらいしか思いつかなかった。
当初は、東急ハンズで1mm厚のEVAシートを1枚手に入れ、それを適当に切り張りすればいいかと考えていた。 ところが、近所の100均で思いがけず便利なものを見つけた。家財に付けるキズ防止パッドである。 厚みがあり、両面テープも最初から付いている。おあつらえ向き。
既存のゴムパッドを取り払う必要がないのも良い。EVAフォーム表面はスベスベしているけど、ある程度荷重をかけた状態だと多少グリップが効く。 というわけで、これをケースの底面に貼っていく。 ケース裏面に8か所、まずは仮置きで都度出音とタイプ時の本体のバランスを確認して、パッドを貼り付ける位置を決める。一応、軽く脱脂しておく。 結果、以下の配置で貼り付けた。 スペースキー側に重点的に配置し、ファンクションキー側は2枚だけ。既存のゴムパッドと同じようなバランスとなった。
結果、パームレストのウレタンフォームには及ばないものの、打鍵時にケース本体から発していた倍音がわずかに抑えられ、キースイッチの素直な音が聞き取りやすくなった。低音の硬い「ドン」という音が無くなった。本当にわずかな差だけれど。
ケース内部に重石を仕込む
YouTubeのカスタムキーボード紹介動画や遊舎工房の製品ページで、高級なキーボードケースに真ちゅう製の"重り"が備えられているものを見かける。制振効果を狙っているのだろう。
この重石、正直どの程度効果があるものなのかわからない。でも、K8のペラペラな樹脂製ケースなら、「重い」というだけでも箱鳴りを抑えられそう。
分解して、内部に真ちゅうの塊を仕込んでみることにした。
例によって東急ハンズで真ちゅう板を探す。
ケース内部中央にはバッテリーが鎮座しているし、2か所の脚を格納するスペースもあるので、大きなものは置けない。そのうえ厚みもバッテリーと同等にしておかないと、PCBと干渉してしまう。
適当に、30x50mm、厚み5mmの真ちゅう板2枚を購入。計200g弱ある。
本来は表面に防腐加工されたものがいいのだろうけど、そこは妥協。
分解して、内部に真ちゅうの塊を仕込んでみることにした。
例によって東急ハンズで真ちゅう板を探す。
ケース内部中央にはバッテリーが鎮座しているし、2か所の脚を格納するスペースもあるので、大きなものは置けない。そのうえ厚みもバッテリーと同等にしておかないと、PCBと干渉してしまう。
適当に、30x50mm、厚み5mmの真ちゅう板2枚を購入。計200g弱ある。
本来は表面に防腐加工されたものがいいのだろうけど、そこは妥協。
K8を分解していく。
今回はキースイッチとプレート、PCBは基本的に弄らないので、キースイッチは取り除かずプレートのネジをすべて外すだけでケース底部にアクセスできる。ただ、K8の構造上、組み立てる際にはプレートとPCBが分離していたほうが断然作業しやすいので、PCBを剥がす場合は結局すべて取り外すことになる。
以前仕込んだEVAフォームは、いったん取り除く。
真ちゅう板を固定する位置を決める。
2か所、バランスを考えて配置する。
K8のケース高はスペースキー側が低く、ファンクションキー側が高くなっている。よって、空間に余裕があるのはファンクションキー側なので、重石をそちら側になるべく寄せるようにして配置するのが無難。
2か所、バランスを考えて配置する。
K8のケース高はスペースキー側が低く、ファンクションキー側が高くなっている。よって、空間に余裕があるのはファンクションキー側なので、重石をそちら側になるべく寄せるようにして配置するのが無難。
また、内部にはリブが格子状に走っている。これがジャマをして用意した真ちゅう板をそのまま置くことはできなかった。
位置決めをしたら、真ちゅう板のスペース分リブを切除する必要がある。
手元にあったニッパーで、少しずつ摘まむように切り落としていく。
手元にあったニッパーで、少しずつ摘まむように切り落としていく。
両面テープで真ちゅう板を固定する。
接着剤が確実だけど、硬化時間が惜しかったのでアクリル製テープにした。
接着剤が確実だけど、硬化時間が惜しかったのでアクリル製テープにした。
真ちゅう板を固定したら、その上に取り除いていたEVAを被せる。これが絶縁体を兼ねる。
PCBと物理的に干渉しないことを入念に確認し、組み立てる。
PCBと物理的に干渉しないことを入念に確認し、組み立てる。
結果、変化があった。ケース側面やプレートを指で叩くと、明らかに音が硬くなり箱鳴りが軽減されていた。EVAシートを底面に貼り付けた際よりも効果を実感できたのが実に意外。キーボードケースって、やっぱり剛性が大事なんだな。
キースイッチにシートを挟んだときもそうだったように、樹脂製の部材には何かしらの「テンション」をかけることによって音に明確な変化が生まれるようだ。
キースイッチにシートを挟んだときもそうだったように、樹脂製の部材には何かしらの「テンション」をかけることによって音に明確な変化が生まれるようだ。
スペースキーのキースイッチを取り換える
今までスペースキーのキースイッチは「Tealio V2」を使用してきた。
動作自体に不満はないけれど、スタビライザーの影響か音が妙にチープで気に入らなかった。
軽めのスイッチが好みだけど、スペースキーだけはもう少し重くても問題ない気がしていて、別のスイッチを探していた。
非常に重たいキースイッチを見つけたので、試してみることにした。
「Kailh Box Ancient Grey」
非常に重たいキースイッチを見つけたので、試してみることにした。
「Kailh Box Ancient Grey」
作動点95g、底打ち100gの超重量級スイッチ。遊舎工房通販にも取り扱いがなさそうだったので、AliExpressで少数注文。
届いたものは潤滑済みだったけれど、自分で塗りなおした。
あと、以前から確認しておきたかったフィルムシート。MX互換スイッチ向けのフィルムシートは、やっぱりKailh Boxには付かないみたい。 スペースキーに取り付ける。 結果、想像通りの重い音になった。「ゴトン」という中低音が鳴る。Tealio V2とは全く別の音。こちらのほうが断然好み。スタビライザーの音が煩かったのではないということか。
ただし、こちらもやっぱり想像通りというか、押下がものすごく重い。力を入れやすい親指で押すキーなのに、意識的に押し込まないとキーが全然沈んでくれない。なんとなく、昔どこかで触った設備のキーボードが、こんな感じの重たいキーだったことを思い出した。
逆手にとって、タッチミスで入力されたくないキーにこのキースイッチを配置するといいかも。
音はいいのだけど、運用面で猛烈な違和感があるので、そのうちまた別のキースイッチに変えるだろう。同じKailh Boxシリーズでやや軽めの「Dark Yellow」あたりにしてみるか。
届いたものは潤滑済みだったけれど、自分で塗りなおした。
あと、以前から確認しておきたかったフィルムシート。MX互換スイッチ向けのフィルムシートは、やっぱりKailh Boxには付かないみたい。 スペースキーに取り付ける。 結果、想像通りの重い音になった。「ゴトン」という中低音が鳴る。Tealio V2とは全く別の音。こちらのほうが断然好み。スタビライザーの音が煩かったのではないということか。
ただし、こちらもやっぱり想像通りというか、押下がものすごく重い。力を入れやすい親指で押すキーなのに、意識的に押し込まないとキーが全然沈んでくれない。なんとなく、昔どこかで触った設備のキーボードが、こんな感じの重たいキーだったことを思い出した。
逆手にとって、タッチミスで入力されたくないキーにこのキースイッチを配置するといいかも。
音はいいのだけど、運用面で猛烈な違和感があるので、そのうちまた別のキースイッチに変えるだろう。同じKailh Boxシリーズでやや軽めの「Dark Yellow」あたりにしてみるか。
まとめ
カスタムキーボードを扱ううえで、ケースの選定の重要性を改めて印象付けられた。剛性の高いしっかりとした造りのケースの上でなければ良質は望めない。そんなところだろうか。
Keychron K8はこれ以上ないくらい手を入れてきた。この先このキーボードに対して施せることは、今のところ思い浮かばない。
またひとまず、使い続けることにする。
Keychron K8はこれ以上ないくらい手を入れてきた。この先このキーボードに対して施せることは、今のところ思い浮かばない。
またひとまず、使い続けることにする。
終。
(以下資料)