いつか消える文章

本当は、ペンとノートを持ち歩くことにあこがれている。

(noteアーカイブ)2020/09/05 (土) ホームレス消滅

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ここしばらく暗澹たる心持ちが続いている。
また歌でも歌えばいいのかな。

悲しみがひどい。
仕事には出掛けるけど、つらかったら帰ってこよう。

都心でウーバー配達。
朝から配達員で溢れかえっている。どこに行っても配達員とすれ違う。午後から雨予報なので、午前中に集中しているのだろうか。
今日は閑古鳥が鳴くかもと覚悟していたけど、それなりにお呼びがかかってくれて助かった。需要も高かったらしい。

「ホームレス消滅」(著:村田らむ)を読み終える。

ホームレス消滅 (幻冬舎新書)

ホームレス消滅 (幻冬舎新書)

 

長年独自にホームレスの取材を続けている著者が、それをルポルタージュの形で著した本。
関連データの引用も多数あるけど、基本的には著者自身の実感に基づいてホームレスの現状をまとめている。
仕事に溢れて住処から追い出されたりして仕方がなくホームレスになる人ももちろんいる。ただし近年は、しがらみのある生活保護を受けるくらいならリスクを背負っても奔放なホームレスでいるほうがいい、という理由でホームレス生活を続けている人の割合が高くなっているらしい。
たぶん、多くの人はホームレスに進んでなりたいと考えることはないだろう。自分もその一人だ。安心して寝泊まりできる場所は、あったほうがいいに決まっている。
でも、いざホームレスになった場合、そこから抜け出そうとするだろうかと考えると、あやしい。

"生活保護を受けるなら死んだほうがいいよ。『タダで暮らせるよ』っていうけど、どうせ俺らなんかは相部屋みたいなところにあてがわれるんだから。生活保護受けても狭いところで共同生活するのが嫌で、ここに戻ってくる人も多いから。ここでひとりで暮らすほうが全然いいよ。"
(「第5章 ホームレスが逃げ込む終着点」より)

自分には、ホームレスの気質がある。
あえてホームレス生活をする人の気持ちがわかるのだ。
家に住むことにより制限される自由から逃れるために、ひとところに定住しない。これはもちろん、社会に適応できないからという理由が大きい。「家」は、現代社会そのものだ。家に住むために生活しているといっても過言ではない。必要性をさっぱり感じない作業をしたり、よくわからない言葉を話す人とコミュニケーションを図ったりしてお給金をもらうのも、マイホームに住むためだ。家を中心に回っている。ホームを維持するために自分の時間を削っている。
学生のころから今まで、このシステムが気持ち悪いと常々感じていた。
家という名の箱を維持しようとするからつらいんだ。そんなもの無いほうが楽に生きられるんじゃないか。と。
今は少しずつ貯金を削りながら賃貸物件に住んでいる。就職はもうしたくないし、できない。年金受給までは程遠い。このままいけば、いずれ家賃を払えなくなって放り出される。
その時、家が無いことに危機感を持つだろうか。なんとかして一定額稼ぎを出して、安アパートにでも住んでやろうとするだろうか。
たぶん、しないだろう。それができないからホームレスになるのだろうし。
お金を払い続けなければならないお高い箱に固執するより、インターネットに接続できる環境を維持することのほうが重要だ。オンライン環境を確保しつつ、河川敷に適当なテントでもこしらえて過ごすのではないか。その姿が容易に想像できる。
生活保護も受けられない。あれは、社会適合者向けの救済措置だ。
社会と密接な関係にある「家」には戻れなくなるだろう。そんな気がしてならない。
生きていくためには、完全なるホームレスではない「半ホームレス」みたいな妥協点を探さなければならないのだろうな。

予報通り、夕方から大雨となった。