東京都「出かけんなよ」
— たゆる (@ta_yu_ru) 2020年7月10日
国「出かけろよ」
地方の人「来んなよ」
鉄道・飛行機各社「安くするから出かけて(懇願)」
茶番はもう飽きた。
音楽はスピーカーの前に座って聴くのが基本の姿勢だ。
室外では、仕事以外で出掛ける用事があって、電車を利用するようなある程度の遠出になる場合、ワイヤレスイヤホンを使ってスマホに入れた可逆圧縮の音楽ファイルやアプリのSpotifyを起動させて聴いている。
今日、久々にワイヤードのイヤホンを音楽専用のプレイヤーに繋げて聴いてみた。
イヤホンは「NUARL NX310A」。プレイヤーは「FiiO M5」。
元々は寝る直前にベッドの中で眠気を誘うような音楽をBGM替わりに流すために用意したものだ。最近は出番がほとんどなくなり、常に枕元にあるもののバッテリー切れのままただのオブジェと化していた。
たまたまインターネットで見かけた新設計のイヤホンが気になって、デモ機を用意しているお店で出音を試聴してみたくなった。ただ、最近のスマホはイヤホンジャック非搭載がデフォルトだ。先日買い換えたiPhoneSEもそれに倣っている。そのため、専用のプレイヤーを持ち出す必要が出たのだ。
電車の中でいつもはフルワイヤレスのイヤホンで聴いている音楽を、配線を両耳から垂れさせながらワイヤードで聴いてみる。すると、音質の良さに驚かされる。
音に厚みがある。まとまりがある。
自分の好みの出音の傾向はわかっているので、ワイヤレスでもワイヤードでも同じように聴こえるよう機種の選定をしている。しかしそれでも、ワイヤードの方がエネルギッシュで、リアリティが高い。
近年ワイヤレスイヤホンの音質が向上したとはいえ、それでもなおワイヤードの域には到達していないことを実感した。フルワイヤレスの誇る圧倒的利便性はもはや覆すことはできないけど、やっぱり音楽をちゃんと聴くならワイヤードでないとダメなのかもな。
現状使っているイヤホンで満足なわけだけど、それでもさらに良い音を求めてしまう。オーディオへのこだわりは捨てたはずでも、"欲"の一つとしてふとした瞬間に発動してしまう。
morning-sneeze.hatenablog.comそんなわけで秋葉原にある専門店eイヤホンに向かう。
お目当てはArtioのCRシリーズ、CR-V1とCR-M1。
スピーカーの出音をイヤホンで擬似的に再現するといううたい文句に惹かれた。
まずはM1を試聴。
やや低域を強調した出音。音場が広く独特で、立体的というかケロケロしていて他の機種では聴かれない感じ。中低域にリバーブをかけたような音でゴージャスに聴かせる。ただ、ボーカルについては決して引っ込んでいるわけではないけれど、残響音の影響なのか若干ぼやけて聴こえる。
ちょっと聴いただけでは違和感ととるか個性ととるかは判断がつかないところだけど、ずっと聴いていられる不思議な魅力がある。
次にV1を試聴。
M1とは異なり若干カマボコのフラット。リバーブ的なものも無く、中高域が聴き取りやすくなった。鳴り方が近くなり、細かい音を拾いやすい。モニターライクだけど硬くなりすぎず、適度に味付けしてありとても聴きやすい。好みの出音で、安心して聴いていられる。同シリーズでもM1とは全く別のキャラクターと捉えられる。
でも、4万円近くもする機種なのだからこれくらいのクオリティは当然持っていて欲しいよな、と思わなくもない。
さて、手にするならM1だ。
イメージは「第一印象の良い不思議ちゃん」。特に好みではなかったけど、あなたのことをもっと知りたい、と思ってしまったのだ。
迷った挙句、買わずにおくことにした。もう少し、今手元にあるイヤホンを堪能しよう。しばらくほったらかしにしていたあなたに申し訳ないし。浮気するわけにもいかない。
それに、どちらも「スピーカーのような音か」と訊かれたら首を横に振らざるを得ないしな。
ついでに、NUARLの完全ワイヤレスイヤホンもいくつか試聴。
3機種聴いてみた。個性が無いのが個性、と言わんばかりのフラットな音は、今使っているNX310Aと同じ傾向だ。でもやっぱりラジオ的というか、枯れた印象で面白みを感じない。
この差は何なのだろう。なぜ差があるのだろう。コーデックの性能差なのだろうか。それにしては顕著すぎやしないか。
電車が混む前に帰ろう。
美味いと感じなくてしばらく飲まないでいたビールを買ってみる。
今日は美味しいと感じる。夏だからかな。