いつか消える文章

本当は、ペンとノートを持ち歩くことにあこがれている。

(noteアーカイブ)2020/06/04 (木) 引っ越しを諦める/予想どおりに不合理

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東京の電車は、混雑を取り戻した。
結局戻ってしまった。日中の都心も人や車がいっぱい。うんざりしてくる。

引っ越しはついに諦めた。
物件探しに疲れた。今利用している賃貸契約の更新をする。仕方がない。
更新料に火災保険料。高すぎる。
毎度思うけど、更新料っていったい何のために支払うのかわからないお金だ。契約を更新するのにお金がかかるって、どういうことなんだろう。事務手数料ではないよな。

物件探しに疲れたのではないな。「不動産屋に行くエネルギーが無くなった」のだ。
もっと言えば、もう人と会いたくない。話したくない。

また、預金が減る。

『予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』(著:ダン・アリエリー 訳:熊谷 淳子)を読み終える。

Amazonkindle版がセールで安かったので買っておいて、電車の中でちびちび読んでいた。

ふつうの経済学は、わたしたちが合理的であると考える。つまり、決断に役立つ情報をすべて知っていて、目の前のさまざまな選択肢の価値を計算することができ、それぞれの選択による結果を何にも邪魔されずに評価できると想定している。
(第15章より)

でも、実際はそうじゃないのよ。意識的にしろ無意識的にしろ、人間はケースバイケースで不合理な決断や行動をしてしまうものなのよ。そして、それらを踏まえたうえで人間を研究していくのが「行動経済学」という学問分野なのよ。と綴られている。
著者は人間の行動について、従来の経済学では「楽観的」、他方の行動経済学では「悲観的」と捉えているという。わかりやすい表現だな。
人間の割と身近にある「どうしてこんなことをしてしまうのだろう」と思わせる現象を、行動経済学エキスパートの著者と仲間たちが、様々な実験によって解き明かそうと試みる。実験の内容はこの書籍に示されている限り、一部ちょっと怪しいものもあるけど概ね単純明快で、結果のほとんどが定量化されているので納得しやすい。実験結果を予測して比べてみるのも楽しい。
人間は"社会規範"と"市場規範"という二つの世界に同時に生きていて、それらを混ぜこぜにせず平行する世界として捉えていれば、人生はかなり順調になると著者は綴る。その通りだなと思う反面、今の社会にはなかなか難しい課題だとも感じる。
情緒を重視し、割となあなあで済ませられる社会規範と、お金が絡むのでキッチリせざるを得ない市場規範。現代は市場規範が拡大している印象がある。それは、お金になるものを社会規範の中から見つけ出しているからだと思っている。たぶん、こうしないと経済は成長しないと考えられているからだろう。
詳しくはわからないけど、過去の積み重ねがあって今の経済のモデルが構築されているのだから、仕方がないのだろう。でも、書籍にもある通り、市場規範は安易に社会規範を乗っ取りやすい。数字になると分かりやすいからな。人間の自制心なんて高が知れていることが新型ウイルス蔓延による"自粛"で明らかになった昨今、社会規範の大半が駆逐されるのは時間の問題のような気がする。
二つある世界のどちらか強いほうが生き残って一つだけの世界になったほうが生きやすいという人もいるかもしれない。ただ、自分は御免被りたい。逃げ場は多いほうがいい。

わたしたちの不合理な行動はでたらめでも無分別でもない。規則性があって予想することもできる。
(第15章より)

著者は実験結果と併せて、不合理な判断をしてしまった場合の解決策や予防策も提案している。これも割と明快というかありきたりで「こんなことで何とかなるの?」と思われるかもしれないけど、結局はここに行きつくのだろうな。
不合理が形作る世界があってもいいよな。