いつか消える文章

本当は、ペンとノートを持ち歩くことにあこがれている。

(noteアーカイブ)2020/03/04 (水) 医者との会話/満腹で空虚

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文学フリマに出品する予定の詩集に、非公開の歌詞をひとつ追加した。
なにかひとつ特典的なものが欲しくて作ってみた。
ボーナストラックだ。

昨晩食べたチキンセットがまだ尾を引いている。
今日の朝食は無しだな。

外来の日。
生きていることを医者に報告するため病院に向かう。
この"鬱病"とやらはもう医療で治せないことはわかっているので、無駄足である。
院内は相変わらず混雑している。病院に行って病気になりそうだ。
「調子はどうですか?」
「以前と変わりありません」
「それは良かった」
別に、良くも悪くもない。
抗うつ薬の投薬をやめて2か月になる。その間に症状が悪化していない、と捉えて医者は「良かった」と言った。
しかし自分としては、服用をやめる前と後で変化を自覚できなかった。依然として何ともないときもあれば気持ちが沈んで何も手につかないときもある。だから「以前と変わらない」と言った。
表面上の言葉のやり取りはかみ合っている。ただ、何も意味はない。ここでそれを正そうとすると面倒くさくなるのでしない。
「疲れているような顔をしているけど、どうしたの?」
そりゃそうだ。ここ最近は連日肉体労働していますからね。
「花粉で目がゴロゴロしているんです」
適当に誤魔化す。でも事実。

病院を出る。
そのまま温泉に行くことを画策して準備もしていたけれど、その気にならずやめる。
帰ってシャワー浴びて、寝よう。

帰り道、なんとなくつけ麺屋に寄る。
美味くも不味くもない。というか、あまり味がしない。
温くてしょっぱいスープに麺を浸して口に運ぶ行為。その繰り返し。
スープに柚子をかける。柚子の味になる。
食べ終わってお店を出ると、悲しみがやってくる。満腹と同時に、空虚感で満たされる。最近外食をするとこういう気持ちになることが多い。なぜだろう。
薄々わかってはいたことだけど、食べない方がマシだった。金の無駄。
外食が得意でないのかもしれない。この歳になって何を今さら、という感じもするけど。

横断歩道を渡る。
ふと足元を見やると、白いラインがピンクや菫色になって踊っている。ホワイトバランスが狂ったカメラのよう。
体も妙に興奮している。これは本当にヤバいんじゃないか? 早く帰って寝よう。

コーヒー豆を買う。
タンザニアブラックバーン。やや浅めの中煎り。
ピーベリー」と呼ばれる粒が球形に近い豆だ。収穫量が少なくて比較的入手が難しいらしいけど、行きつけのコーヒーショップに入荷していたので買ってみた。希少ゆえ、ファンも多いらしい。
柑橘系の香り。苦味、甘み、酸味のバランスが良い。
"コーヒーらしさ"を感じる濃縮された味がフワッと広がった後、静かに抜けていく。酸味が強いのかと想像していたけどそうでもなく、優しく舌に残る感じ。
喉越しが滑らかでスルリと飲める。砂糖やクリームとの相性も良さそうだ。

2時間ほど寝る。体は落ち着く。
腹は減るが何も食べたくない。

買っておいた半額弁当を突っつく。少し硬くなった冷たいご飯が美味しい。
美味しいというか安心する。